クリニックのスタッフの給料はいくらにすべき?
クリニックのスタッフの給料はいくらにすべき?
クリニック経営の悩み相談Q&A
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当社は、クリニック開業コンサルティング支援をしていますが、開業後のご相談も無料にて対応しています。先日、当社で開業支援をさせていただいたクリニックの院長先生から、最近のクリニックのスタッフの給料などについてご相談をいただきました。
クリニックを経営し始めたら、多くの院長先生がスタッフのことで悩まれることが多いです。
先生は、今まで医師としての仕事ばかり携わってこられていましたが、いざ独立したら、クリニック経営に関わるあらゆることを先生ご自身で対応しないといけなくなります。今回のご相談のように、労務問題といった今までやったことのないことにもチャレンジしないといけません。開業後に、もっとも悩むことがスタッフのことになります。
年々上昇するスタッフの給料
スタッフを雇用する方法には、正社員として雇う方法と、パートタイマーとして雇う方法の2種類があります。正社員でもパートタイマーでも、募集時のお給料が上がってきています。
例えば東京23区内で開業をするときには、医療事務の求人が本当にたくさんあります。10年ほど前であれば、正社員で月給18万円、パートタイマーの時給はおおよそ1,100円で募集ができていました。令和6年の現在では、月給が22万円以上、時給は1,300円以上が当たり前になってきています。
どうしても人材を募集しないといけない場合には、月給24万円以上、時給1,400円以上で募集する場合もあります。急募の場合で月給26万円以上、時給1,600円というところもありました。
他のクリニックの給料がそのような高額な金額になってきたら、それに合わせていくことが大事です。例えば、10年前に時給1,100円で働き始めたスタッフが、10年間勤務して昇給し1,300円になったとしましょう。そのスタッフが、他のクリニックの求人を見たときに、「1,600円の時給を出す求人が有ればそちらに転職しようかな」と考えてしまいそうです。現在は「働き手市場」と言って求人の方が多い時代ですので、スタッフは他のクリニックの給料の金額をチェックしていることが多いと思います。
スタッフがクリニックで働き続けようとする理由は、お給料だけでなく働きやすさもあります。しかし、気持ちよく働いてもらうためにも他のクリニック並みに給料を上げていき、さらには臨時の賞与を出すことも検討してください。
ただし、このお給料の増額はクリニックの経営状況にもよります。スタッフの給料を増額したらクリニックの経営状況が悪くなるようであれば、スタッフを新規雇用しないようにし、先に業務の効率を高めるように検討するなどの経営改善を優先された方が良いです。
いずれ勤務先の病院を退職して、クリニックの開業をお考えの先生は、スタッフのお給料の上昇をも考慮した入念な事業計画を立てることが大事です。
お給料を増額したら熱心に働いてくれるようになるのか?
クリニックを経営されている先生から、「スタッフがダラダラしていて、熱心に働いてくれていないように感じる。お給料を増額したら熱心に働いてくれるようになるのか?」とご質問をいただくことがあります。
お給料を増額することでスタッフが熱心に働いてくれるようになれば、患者さんからの良い口コミが増えるという計画です。そうすると、患者さんの数も増えて売上げも上がり、お給料の上昇分を補えるという考えです。
お給料を高く設定することは優秀なスタッフを雇うためには大事なことと思いますが、お給料とスタッフの熱心さは、それほど関係がないように思います。お給料が上がったときには熱心に働いてくれるものですが、そのうちに慣れてしまって、お給料だけ上がっても熱心さは薄れてしまうものです。
現在働いてくれているスタッフにずっと働いてもらいたいのであれば、他のクリニックよりもお給料を増額していってあげる事も大事ですが、スタッフの働き具合を確認して、スタッフごとにお給料の増加に差をつけていくことも大切です。
お給料の増加に差をつけていくためには、「どうしたらお給料が多く増額されるのか」という基準を明確にすることが大事です。そういった基準ができることによって、スタッフの働きやすさにもつながります。
時給計算は1分刻みにすべきか?
また、先生からスタッフのお給料のことで聞かれることは、「時給の計算は何分単位が良いのか?」です。クリニックでは、お給料の時間計算を15分単位にしているところが少なからずあります。これは、実は法律上の判断から見ると、1分刻みで計算する事が正しいと言えます。
とは言え、クリニックは一般的な企業や工場の生産ラインの作業とは異なり、「職場での作業開始時間と修了時間を明確に区分する」という管理が難しい業種です。クリニックの場合どこから仕事開始で、どこまでが仕事の修了かの管理が難しいのが現実です。そこで、15分単位での時間計算を採用することが、クリニックの業務の特性に合った計算方法と言えるでしょう。
「1分単位の時給計算にすべきか?」と訊かれたら、法律上ではそのようにすべきですし、仕事のオン/オフが明確になっているのであれば、1分単位での時給計算にしても良いと思います。
スタッフの時給計算を15分単位にしているクリニックが1分単位に変更するときは、スタッフが仕事の始まりと終わりをキチンと区別して、ダラダラと働いていないかを院長ご自身で確認してから行ってください。
高めの時給を出しても利益が出せるミニマム開業
ミニマム開業という言葉をご存じでしょうか。ミニマム開業とは、クリニックの規模を最小にして、医師の手取りを最大にする開業方法です。「子育てができるクリニックを開業したい」とお考えの女医さんに人気の開業方法です。
ミニマム経営の詳細は、「ミニマム開業とは?メリット・デメリット」をご覧ください。
リスクが低いミニマム開業では、パートスタッフを雇うことが基本となります。正社員ですとスタッフのお給料は、クリニックの営業時間に関わらず固定されてしまいます。それに対してパートスタッフであれば、クリニックを臨時に休診したいときには、休んでもらうこともでき、人件費を調整することも可能です。
正社員は、朝から夕方まで決まった勤務時間はクリニックで働くことになります。クリニックのような女性中心の職場では、そういった長時間働ける人が少なくなってきているので、高めの月給を設定しないと正社員がなかなか来てくれません。
ミニマム開業では、パートタイマーで働いてくださるスタッフの雇用が基本です。ですので、スタッフの働きやすい時間に来てもらうようにします。また、パートタイマーで働くスタッフは、正社員のスタッフと比較して休みを取りやすいものです。子育てをしているパートスタッフであれば、お子様が急に熱を出しても、他のパートスタッフと勤務を交代してもらう事で休みを取りやすいと思います。
先生が子育てをされているのであれば、お子さんが学校に行ってから出勤の準備をしたいと思うでしょう。そこでクリニックの開業時間を生活の時間に合わせます。また、お子さんが学校から帰ってくる時間にクリニックの診療を終わらせます。そのような時間帯の開業であれば、同じ時間帯で働きたいと思っているパートさんは、すぐに見つかるものです。
良いパートスタッフに働いてもらうためには、そのような工夫も大事になります。
まとめ
いろいろとお給料について述べてきましたが、まとめますと、次のことを覚えておいてください。
- ・ お給料が年々上がってきているので、他のクリニックの求人をチェックして相場を把握しておくこと
- ・ スタッフのお給料をその相場に合わせて増額してあげること
- ・ これから開業するときは、スタッフの働きやすい時間帯を考えておくこと
クリニック経営を取り巻く環境は年々厳しくなってきていることは事実です。クリニックの新規開業では、さまざまなことを先生が考え、判断していかないといけませんが、どのような開業コンサルタントに相談するかによって、クリニック開業の成否が決まるようにもなってきました。
当社は、これから開業をしたいとお考えの先生にとっての最良のアドバイザーとして、クリニックの安定経営に伴走できたらと考えています。ぜひ、当社のクリニック開業コンサルティングをご検討ください。