開業ドクター インタビュー

困っている子ども達のために、成人してもフォローができるクリニック

こもれびクリニック
(児童精神科・精神科・心療内科)
佐藤珠己先生

こもれびクリニックの佐藤先生にインタビュー

「こもれびクリニック」は、2022年6月に東京都練馬区に開院しました。
西武池袋線江古田駅の目の前の場所で、児童精神科・精神科・心療内科として診療を行っています。

医療も療育もカウンセリングもできるクリニックを目指して、手堅くスタート

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なぜ開業をしようと思ったのですか?

私の専門分野である児童精神科は、需要が高いのにもかからわず、診察できる医療機関も受け入れ枠も少ないのです。困っている子ども達を診ることができるクリニックを作りたいと思ったのが一番の動機です。

勤めていた施設は、相談は受けられるが処方などの医療行為はできない、医療行為はできるが心理士さんのカウンセリングや療育は受けられない、医療行為はできるが長期フォローができない・・・などの制約がありました。

どの勤務先もとてもお世話になりましたし勉強させていただきましたが、それらの制約があるのがもどかしく、医療も療育もカウンセリングもできて、受診してくれた子ども達が成人しても相談に来られるクリニックを作りたいと思ったんです。

それに、両親が開業医で自宅で診察をしていたので、小さい頃から患者さんが来院する様子を見ていたこともあり、開業することも自然な選択でした。

開業するための情報はどのように探したのですか?

先に開業されていて、とても信頼していた勤務先の先輩医師から聞き、その時初めてクリニックの開業支援をしてくれる会社がある事を知りました。

私が開業を決心した時はちょうどコロナ禍でしたし、開業セミナーは強力な勧誘を受けそうなイメージがあったので、参加はしませんでした。その代わり、開業コンサルティング会社2~3社に個別相談をしました。

それらの会社に相談された時の状況はどうでしたか?

どの会社も相談には乗ってくれていたのですが、当時は、土地を買って戸建開業するのか、テナントで開業するのか、クリニックの規模について迷っていた時期でした。
私の決心次第ということで、特別なアドバイスをもらうことはなかったです。
初めてのことばかりで、自分の判断が合っているのか間違っているのかとても不安でしたし、なかなか決心がつかず話が先に進みませんでした。

オクスアイはどのようにして知ったのでしょうか?

オクスアイさんの存在は、学生時代の部活の先輩医師から聞きました。
私がクリニックの規模について迷い過ぎて、先のことが決められずにいることを伝えると、「きっとオクスアイの社長さんなら的確なアドバイスをくれるよ」と紹介してくれました。

なぜ他社ではなく、オクスアイに開業コンサルティングを頼もうと思ったのですか?

まず、社長の金村さん自らオンライン相談に乗ってくれたんです。そして私が迷っていた事に対して、忖度なしで率直なアドバイスをいただきました。
言葉は厳しいけれど信頼できると思ったので、オクスアイさんにお願いしようと思いました。

どのようなアドバイスがあったのですか?

「クリニックは小さめの規模で手堅く始めて、必要なタイミングで大きくすれば良い」という事です。
クリニックの規模を大きくすることのリスクが心配だったので、その部分に対してズバッとアドバイスいただいた感じです。
「それが経営の基本ですよ」と教えていただき、確かにその通りだと思いました。

5か所の非常勤を続けながら、コンセプト通りのクリニック作り

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クリニックの場所を練馬区にした理由は何かあるのですか?

私は結婚してから夫の地元である練馬区に住んでいます。
練馬区はまだ緑が多く残り、人通りが少なくのんびりとした雰囲気で、とても愛着があります。
それに、区内の公共相談施設でも働いていることもあり、地域に貢献ができると思いました。

そのため自宅の近くで、西武池袋線沿線の物件を探しました。
小さな子ども達や動きの激しい子ども達が対象のクリニックですし、親御さんにとって一緒に外出すること自体が大変なことも考えて、駅から近くであることも重視しました。

オクスアイ社長の金村さんに、候補の物件を一緒に見に行っていただきました。
一件一件回りながら、「水道管が引きづらいですね」、「壁が良くないです」、「床がデコボコだから高さを上げないといけないので、追加費用がかかります」といった、具体的な問題点を指摘してくださり、とても参考になりました。

開業準備期間は勤務されていたのですか?

当時は5か所で非常勤として働いていて、どれも大切な仕事でしたので整理しきれず、それぞれ細々と続けながら開業の準備をしていました。
開業する場合、開業届の提出と同時に他の勤務先を退職することが一般的だそうですが、私の場合はそうした選択肢は無く、とても忙しかったですね。

そんな中でも私の生活に最大限配慮してオクスアイさんが合わせてくださり、都度進行表を作成していただきながら効率的に開業準備を進め、なんとか忙しい時期を乗り切れました。とても感謝しています。

クリニックの内装や雰囲気について、ご要望はありましたか?

「来院した患者さんがリラックスして過ごせる」ことを第一のコンセプトとしました。
一般的な病院と言えば真っ白い壁と床、明るい光が思い浮かびますが、当クリニックが対象にしている子ども達は感覚の過敏さを持っていることも多く、白い壁や床が眩しく感じたりBGMをうるさく感じたりして、落ち着いて過ごせないこともあるんです。

そこで、壁紙や床材の色は控えめにして、電気も真っ白ではなく柔らかい色にしました。BGMもありません。
できるだけ刺激を排除して、のんびりした気持ちで過ごせるように工夫しています。
ただ壁紙や床は選択肢が多く、選ぶのにとても迷ってしまいました(笑)。それでもオクスアイさんの担当の方と何度も打ち合わせやシミュレーションをしてもらい、選んでいくことができました。

子ども達は「おうちに遊びに来たみたい」と言ってくれますし、親御さんからも「初めての場所では緊張する子なのに、このクリニックでは緊張しないでリラックスしている」と言われることも多く、コンセプト通りのクリニックに仕上がったと思っています。

クリニックの工事中はトラブル等はなかったのでしょうか?

後から聞いた話ではありますが、内装工事の時に出た木くずなどの煙で火災報知器が反応してしまい、消防車が来てしまった事がありました。
同じビルの他の階の方々にご迷惑をかけてしまったのですが、オクスアイさんがすぐに対応して、各階に菓子折りを持って挨拶に行ってくれたので、特に問題にならずに済みました。

その他、オクスアイからのアドバイスで何か印象に残ったことはありますか?

「楽しくお仕事してください」と言われたのが印象に残っています。
診療と経営を同時にやらなければいけない中で、多くの事を心配せずにできるレベルの規模で、やりたいと思っていた診療に専念するようにとアドバイスをいただき、その通りだなと思っています。

子ども達が、安心して通い続けることができる児童精神科を目指して

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クリニックをオープンして、勤務医の頃と比べて変わったことはありましたか?

まだまだこれからではありますが、療育やカウンセリングなど、今まで足りなかったことを補えていて、小回りのきく診療ができていると思っています。
気の合う人と仕事ができていますし、仕事がやりやすいです。

患者さんにとってはいかがでしょうか?

成人を対象とする精神科・心療内科は、発達障害や小児の分野まではなかなか診れてない事が多く、発達に課題があるような子ども達が大きくなって成人になっていきますが、一般的な成人を対象とするクリニックを紹介するのは現実的ではありません。

小児科も基本的には15歳までを対象としていますし、そこから先の年齢が難しいんです。
児童精神科として、成人になっても長期的にフォローしていくことで、受診先に困ることもなくなり、ライフステージに合ったサポートができます。患者さんにとっても良い事だと思っています。

クリニックの経営者として意識していることはありますか?

クリニックの売上だけを考えれば、診療時間をなるべく短縮して多くの患者さんを診るのが良いとされるかもしれないですが、子ども達と話す時間、親御さんと話す時間の両方が必要ですし、しっかり向き合う時間を確保する事が大事なため、そのバランスが大切だと思っています。

初診の場合や、困り事の多い時期は子ども達とその親御さんにできるだけ向き合い、その後家庭内でフォローする体制が整い、子ども達の状況も良くなってきたタイミングで少しずつ時間をコントロールするようにしていきたいと思います。

今後の目標はありますか?

発達に課題がある子どもたちは、少なからず学習の問題を併発することがあります。例えば、集団の中で授業に集中し理解することが困難だったり、限局性学習症などの問題が見落とされていることもあります。
また、知的に問題がある子どもは特別支援を受けられても、知的な問題がなければ特別支援を受けられない地域もあります。

厳密にいえば、通常学級の中にいる配慮が必要なお子さんも支援を受けられるはずなのですが、実際に上手くサポートされていないケースもあります。
発達の問題は千差万別ですし、発達の課題がある子どもたちは環境の影響を受けやすいので、個別指導が有効なのですが、民間サービスも手一杯、といった現状があります。

そんなことから、遠くない将来、当院で、サポートの少ない子どもたちに学習支援ができる体制を作れたらいいなと考えています。まだ構想を練っている段階ですが。

現在開業を考えている先生方へアドバイスがありましたら、教えてください。

開業は、タイミングと「自分が何をやりたいのか」が大切です。
その上で、信頼できるアドバイザーを見つけて、準備していくことが必要だと思います。

インタビューに答えてくださったのは

こもれびクリニック

こもれびクリニック 佐藤先生

東京都練馬区、西武池袋線江古田駅目の前の場所に開業。
医療や療育、カウンセリングを行い、成人しても通院することのできる児童精神科のクリニックとして診療を行なっている。

所在地
東京都練馬区
開業年月
2022年6月
科目
児童精神科・精神科・心療内科
開業の特徴
新規開業
ホームページ
こもれびクリニック

コンサルタントより一言

佐藤先生、ご開業おめでとう御座います。
専門の先生が少ない、児童精神科と言う特殊な分野での開業相談を受けたときに、医療の内容と経営のバランスという問題が大きなテーマとして浮かび上がりました。
成人を対象とするメンタルクリニックは数多くあり、コロナ禍の影響もあって開業してからも比較的安定した経営を行う事が出来ますが、児童精神科の分野では時間を掛けてあらゆる方向からのアプローチが必要となりますので、先生の目指す医療を無理無く実現出来る、安心して経営を行えるクリニック創りを目指しました。
来院する患者さんも、クリニックを経営する院長先生も、楽しく過ごせる事を願っています。
これからも沢山の子供達のために良いお仕事を続けて下さい。

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