【皮膚科医の開業におすすめ】低リスクで皮膚科クリニックを開業する5つのポイント

勤務医の医師が独立して皮膚科クリニックを開業するときに、低リスクなクリニック経営ができ、なおかつ手取り収入を増やせる方法があります。
当社では、たくさんの皮膚科クリニックの開業をご支援してきました。その中でこの方法をご存知だった皮膚科医の先生はいらっしゃいませんでしたし、開業コンサルタントや税理士でも知らない人がほとんどです。
その開業方法は、次の5つのことを守っていただくことです。すると、低リスクでなおかつ懸命に働かなくても手取り収入を最大3,000万円まで増やすことができます。
- 1.開業場所は立地条件で選ぶこと
- 2.美容皮膚科やアレルギー科など関連する診療科目も取り入れること
- 3.最初から高額な医療機器を導入しないこと
- 4.スタッフはパートさんの受付スタッフ1人にして、予約制にすること
- 5.租税特別措置法第26条を活用すること
勤務医で3,000万円の手取り収入を得ようとすると、かなり長時間の勤務を強いられることが一般的です。身体を酷使して、「何のために働いているのだろうか?」と疑問を持つこともあると思います。そういった環境から離れたいことを願い、「自分のクリニックを持ちたい」とお考えになって開業を希望される先生は多いです。
しかし、クリニックを自分で開業するとなると、経営についても自分の責任となるので、「リスクを取るか、それとも今の仕事環境を受け入れるか」という選択になります。
そこで、皮膚科クリニックでの開業をお考えの先生に、低リスクで手取り収入を増やせる開業方法をご説明いたします。この方法で実際に開業されて、手取り収入を増やすことができた先生は多いです。また、「そこまで多くの収入は希望しないけれど、ご自分の自由な時間に働いてしっかりと子育てもしたい」という女性医師の方にもおすすめの開業方法です。
開業コンサルティングをご希望の方は、「皮膚科・美容皮膚科医院の開業を支援するクリニック開業コンサルティング」をご覧ください。
それでは、上記5つのポイントをご説明いたします。
1.開業場所は立地条件で選ぶこと

クリニックを開業して倒産させてしまう根本原因は、患者さんの数が少ないと言うことです。患者さんの数は、先生の診療の技術やコミュニケーション力なども影響しますが、もっとも大切なことは「新患さんが来るかどうか?」です。新患さんが来るかどうかは、開業場所が集患しやすい場所かどうかということによります。
いくら経験豊富な良い先生でも、新患さんが来ないような場所で開業してしまったら、売上高は伸び悩み、テナント代や水道光熱費、スタッフの人件費などが出ていくだけで、赤字経営となってしまいます。赤字が続いて資金が底をついてしまったら、資金調達ができなければそのクリニックは倒産です。
開業場所の立地条件は、「集患がしやすいかどうか?」で選ぶべきです。
テナントの坪単価で選んだクリニックは失敗しやすい
開業を考えている先生が開業場所を選ぶとき、「坪単価の安さ」で選ぶことがよくあります。確かに、坪単価の安いテナントは家賃が安くなり、それだけ出費が少なくて済みますから、低リスクのように感じます。ところが、坪単価の安いテナントは集患がしにくい場所にあることが多いです。
集患がしやすい場所というのは、人通りが多いところです。例えば、コンビニを経営するとしましょう。コンビニを出店するのであれば、地方の人通りが少ない商店街よりも、自動車の交通量が多い幹線道路沿いの方が良いでしょう。また、都市部では静かな住宅街の中よりも、駅前の人通りが多い場所の方が良いはずです。
このような開業場所選定の判断は皮膚科クリニックでも同様です。皮膚科クリニックに通いたいとお考えの患者さんは、駅前の便利な場所にあるところの方が通いやすいです。
駅前の便利な場所は、人気がありますのでテナントの坪単価も高くなります。そういった場所でも、床面積の小さなテナントを選ぶことで、割安な家賃でクリニックを開業することができます。テナント代は、坪単価と床面積を掛けた金額で決まるからです。皮膚科クリニックは、他科のクリニックと比べて比較的狭いテナントでも開業がしやすいので、坪単価の高い場所でも床面積の小さな場所を借りて、家賃の負担を抑えながら、患者さんの獲得をしやすくすることが可能です。
このように坪単価だけで開業場所を選ぶのではなく、入ってくるお金と出ていくお金のバランスで考えることが大切です。
クリニックの内装工事も坪単価だけで判断しないこと

坪単価だけで判断して失敗するもう1つの例として、クリニックの内装工事があります。
以前に、当社にて開業支援をさせていただいた先生から、「オクスアイさんの提案は、内装の坪単価が高いから、別の工事業者に依頼したい」と希望された先生がいました。先生に強く要望されてしまったらそれに従うしかありませんので、先生が見つけた工務店に内装施工を依頼されました。
開業からしばらくして、その先生から唐突にご相談がありました。その内容とは、「電子カルテと院内のネットワークを組み上げるためのLANの配線が貧弱で、何をするにも手間がかかりすぎてまともに診療ができない。」ということでした。その結果あちこちの壁を壊してLANの配線をやり直したということです。
内装工事を依頼した業者は、工事が始まってからは施工の途中経過に関する報告もなく、設計図通りに施工していると言って、知らないうちに工事はどんどん進んでいきました。
そもそも、設計図を見せられても初めて見るものなので、何が何だかわからないままにクリニック内装工事の専門家だと言う、工事業者の言葉を信じる他はなかったと言うことです。
その結果、設備面だけでなくレイアウトに関しても、無駄の多い非効率なクリニックが出来上がってしまいました。
さすがに、出来上がってしまったレイアウトまで変えようとすれば、全て壊して内装工事のやり直しをしなければならなくなってしまうので、そこまでの決断はできずに、生産効率の悪いクリニックを使い続ける他は有りませんでした。
クリニックの内装工事は、見えないところにきちんとお金をかけておくことで、長く利用ができます。しっかりとした工事をしていれば20年以上は快適に使えたクリニックですが、坪単価の安さだけで内装工事業者を選んだために、壁の中の見えない設備や施設計画のレイアウトでもかなりの手抜き工事をされていたようです。
このように突発的に大きな出費を出さないためにも、お金をかけるべきところを見極めることが大切です。
2.美容皮膚科やアレルギー科など関連する診療科目も取り入れること

皮膚科クリニックでは、皮膚科の診療だけをすることを想定する先生がいらっしゃいますが、皮膚科の保険診療だけでは売上高を伸ばしにくいことも現実です。そこで、皮膚科に関連する診療科目も取り入れることをおすすめします。
皮膚科に関連する診療科目を増やすことで患者の数や診療単価を高めることが可能
その代表例として、美容皮膚科とアレルギー科があります。関連する診療科目も受診できるようにしておけば、皮膚科での来院だけでなくアレルギー科の患者さんも増やすことができて、クリニックの認知度を高めることになります。
特に美容皮膚科は顧客単価を高めることができ、また患者さんが何度も通ってくださることにもつながるので、安定経営にもおすすめの診療科目です。
クリニックの安定経営には、同じ患者さんが何度も通ってくれることが大切です。アレルギー科や美容皮膚科は、同じ患者さんが何度も通ってくれる可能性を高めてくれます。
経験のない診療科目の導入は開業前に研修を受ける
「美容皮膚科の経験がない」という先生もいらっしゃることでしょう。そういった先生は、1年間程度、美容皮膚科を専門としているクリニックでアルバイトをして、医療技術を習得することをおすすめします。そこで診療の仕方や患者さんへの対応方法などを教えてもらい、独立開業に備えてください。など
後ほどもご説明しますが、その期間に医療機器の操作方法、注射や採血などもいっしょに練習しておくようにしてください。先生が何でもできるようにしておくと、スタッフをたくさん雇わなくても良くなるので、人件費を下げることができ、安定経営につながりやすいからです。
レーザー治療装置を導入する場合
もし、脱毛や美白・シミ取りなどに効果のあるレーザー治療装置を導入したいならば、テナントビルの電源にご注意ください。それらの機器の多くが、単相200Vの30Aという大容量の電源を必要とします。開業当初はレーザー治療装置を導入しなかったとしても、後でニーズを感じて大容量のレーザー治療装置を導入したくなる場合もあります。そのときに必要な電源がなければ、レーザー治療装置の導入を諦めることになります。
美容皮膚科では、テナント契約をするときに、念のため単相200Vで30A程度の電源がテナントで確保できるかどうかを調べておくことが必要です。もしテナントに電源が確保されていなかった場合でも、ビルの電源設備(キュービクル)に余裕があれば、追加の工事費用はかかりますが、レーザー装置に必要な電源をテナント内部に引き込むことも可能です。
3.最初から高額な医療機器を導入しないこと

美容皮膚科では、海外で開発された高額な医療機器の導入をする場合がよくあります。性能は良いのですが日本では薬事法の承認を得られていない機器も多いので、患者さんに対する治療効果は高いことから、多くの患者さんに定期的に通ってもらえるようになる場合もあります。ところが、そういった高額な医療機器を開業当初から導入すると、経営リスクになる場合があります。
高額な医療機器を購入する場合、その支払いは銀行から融資を受けて行います。借入金が増えると、それだけ経営リスクが高まります。ただ、高額な医療機器を導入することによって、それを購入するためにした借金の返済や、医療機器のランニングコストを上回るだけの売上高を、患者さんから得られるのであれば、もちろん導入すべきです。
しかし、最初から借入金やランニングコストの合計金額を上回ることは難しい場合が多いです。そうなると、高額な医療機器への投資は非効率になってしまいます。
当社がおすすめすることは、「クリニックに来院していただける患者さんが増えてきて、その患者さんの多くが高額な医療機械を使った診療を求めていることが判ってから、導入を検討すること」です。
当社にて開業コンサルティング支援をさせていただいたクリニックの先生は、高額な医療機器の導入に関しても無料でご相談を受けています。
4.スタッフはパートさんの受付スタッフ1人にして、予約制にすること

駅前で小さなクリニックを開業し、集患力のある診療科目を取り入れ、高額な医療機器を導入しないだけでも、相当に経営リスクを軽減することができます。さらに経営リスクを減らす方法として、「スタッフの採用では、受付をパートさん1名にする」という方法があります。
皮膚科クリニックを開業するときに、一般的な開業であれば、受付スタッフや看護師など最低でも3人以上のスタッフを考えることでしょう。それをパートの受付スタッフさん1名だけにすることでも運営が可能な体制を検討しましょう。
スタッフさんの人件費は患者さんが来院してくださる人数に関係なく、毎月一定金額を出費します。特にスタッフさんを常勤にしたら、お盆や正月などの長期の休暇で売り上げが0の時でも人件費が毎月の固定費として出ていってしまいます。そこで、受付スタッフを1名のみとしてパート契約して入ってもらい、クリニックの診察を予約制にすることです。
患者さんの来院時間に制約がなければ、常に受付スタッフが複数名必要になります。予約制にしておけば、極論すれば患者さんが来院するときだけ受付スタッフが居たら良いというわけです。それを実現するために、クリニックを予約制にするわけです。また、医療機器の操作や採血などのために看護師さんを雇うとなると、パート契約でも可能ですが、看護師さんは売り手市場なので時給も高くなり、辞められてしまったらまた採用のために大きな金額が必要となったりして、経営リスクを高めてしまう場合があります。
受付スタッフ1人だけにする場合、医療機器の取扱や注射や採血なども先生ができるように練習しておくことも大切です。
5.租税特別措置法第26条を活用すること

租税特別措置法第26条とは、要約すれば「診療報酬が年間5,000万円以下であれば、経費計算が概算で約70%として申告しても良い」というものです。このようなザックリとした経費計算のことを、「概算経費」といいます。そして、この法律に準じて税務申告することで、約70%を必要経費として認めてもらえるのです。
すると、仮に5,000万円の売上高だったとしたら、その約70%ですから、約3,500万円を概算経費として申告すれば良いわけです。そして、残りの1,500万円程が先生の所得となり、税金を支払った残り1,100万円ほどが手取り収入の一部となります。
そして、3,500万円の経費ですが、実際に支払う経費は3,500万円もかかっていません。なぜなら、テナント代は格安のところに入居しますし、高額な医療機器を導入しませんし、スタッフもパートさんが1人だけです。例えば、家賃や光熱水道費などで年間の合計が600万円、パートさんの人件費が600万円、診療をしたときの変動費が300万円としたら、合計1,500万円が実際に経費として支払われた金額となります。3,500万円から1,500万円を引いた、残りの2,000万円は、租税特別措置法第26条によると「先生の手取り収入として良い」という法律になっています。
このようにして、租税特別措置法第26条を活用することで、先生の手取り収入を最大3,000万円まで増やすことができます。このときの売上高が5,000万円ですから、先生が従来型の開業をした場合と比べると、半分以下の仕事量で同じくらいの手取り収入を得られるわけです。
以上、皮膚科クリニックを低リスクで開業し、手取り収入を最大3,000万円にできる開業方法をご紹介いたしました。これらのことを実現するためには、入念に事業計画を立てることは言うまでもありません。ここでご紹介した「低リスク経営となる事業計画を立てたい」とお考えの先生は、支援実績多数の当社にご相談ください。オクスアイでは都内やその近郊を中心とする皮膚科クリニックを開業したいとお考えの先生をご支援しています。
当社の開業コンサルティングをご検討の方は、皮膚科・美容皮膚科医院の開業を支援するクリニック開業コンサルティングをご覧ください。もしくは、当社にて無料で行っているオンラインセミナー&相談会にご参加ください。
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