外来医師多数区域と医師の開業規制
2020年に始まった都心での開業規制は、開業医の中でも一番競合の多い内科医院の過剰な増加を抑制していこうという政策面での判断がある様です。
ただ、一面では開業医の経営破綻を未然に防ぎたいという、医療行政面での誘導も深く関係しているようにも感じます。
ここでは、外来医師多数区域と医師の開業規制について、コンサルタントとして医師の方々の開業をご支援してきた立場から見て感じたことを述べたいと思います。
外来医師多数区域とは?
外来医師多数区域とは、簡単に述べると市区町村の人口に対して外来のクリニックが多い地域のことです。医師需給分科会の調べによると、人口の多い都心部が外来医師多数区域に入っていることが目立ちます。
確かに都心では、クリニックが飽和状態にも感じる場所が多いです。
人口の多い場所は、集患もしやすいという理由から人気の地域なのですが、厚生労働省としては、日本国中に満遍なく内科クリニックができることを望んでいることと思います。そういった流れでの、外来医師多数区域におけるクリニックの開業規制の話です。
これから独立して開業医になりたいとお考えの医師は、「自分は開業できるのだろうか?」とご心配のことでしょう。
でもご安心ください。
クリニックの開業に規制がされていく流れはありますが、現在のところ実際に規制されているわけではありません。
医師が持つ幅広い権限
医師免許というのは、一個人に万能の権限を持たせると言う側面がありますが、それが故にクリニック経営が怪しくなると、倫理観を欠いたことをしようとする医師が少数ですがいます。つまり、それにブレーキを掛けているように感じます。
例えば、精神科の医師は強制入院という権限で、患者個人の権利を剥奪する権限を行使することができます。また、外科医は麻酔をかけて患者さんの患部を切除することが法的に認められています。
脳外科医に至っては、患者さんの頭蓋骨に穴を開けて脳内の動脈瘤にクリッピングをすることも日常茶飯事です。
大多数のドクターは、患者さんの命を守るために日々研鑽をして、その一生をかけて誰からも尊敬の念を受ける様な、世の中のためになる様なお仕事をしています。
医師になることと倫理観
ただ、近年は医学部の入学試験の中で、学力を審査する一次試験に合格した受験生の中から、二次試験の面接で医師としての適性を審査される様になってきました。
世の中に知能指数が高くて、偏差値の高い人は一定数います。医学部を受験する人たちの中にはその様な優秀な頭脳を持った学生が多くいます。
ただ、そうした人たちが高い倫理性を備えているかと言うと、そこはまた話が違ってきます。
残念なことですが、頭は良くても一般常識からすると変わった考え方を持った人や、おかしな人は少数ではありますがいることは確かです。
先生方の同級生の中に、「この人がお医者さんになったら、ちょっとまずいんじゃないか」と言うような人はいなかったでしょうか。
医学部の入学試験の面接では、将来医師として仕事をさせるには、よほどおかしいと感じられることがない限りは見過ごされてしまいます。
その様なことから、倫理観が欠けていたとしても優秀な頭脳を持った医学生であれば医師としての臨床を経験して、開業医としても活躍することになります。
売上が少なくなるととんでもないことを考える医師もいる
ところが、開業したものの経営が上手くいかなくなってくると、常識のある普通の医師であったとしても経営のストレスに負けて、医師としての万能の権限をマイナスの方向に使用する人が出てくることがあります。
『貧すれば鈍する』と言う言葉があります。
これは、お金に困って貧乏することの怖さを表したことわざで、人間はお金に困って追い詰められると、考えられないようなとんでもないバカなことをするようになる。と言うことわざです。
医師として勤務医の生活をしてきた間は、世間一般の給与水準以上のお給料をもらうことができますので、それほど派手な生活をしていなければ、お金に困ると言う経験はしないはずです。
医師が独立開業すると、収入の全てがクリニックの売り上げに左右されるようになります。上手く売上が上がって金銭的にも困らない状況であれば良いのですが、売上が少なくていつも家賃や人件費の支払いを心配するようになってくると、心の弱い人はとんでもないことを考えるようになってしまうことがあります。
医師の権限は性善説に立脚していますので、ある意味万能の権限を持つことになります。しかし、医師も人間ですから、意志の強い人もいれば弱い人もいます。
お金に困って、とんでもない事件を起こす医師は、毎年ごくわずかですが新聞紙面に処分の結果が掲載されるように、確かに出てきます。
医薬品や麻薬の横流しから、不正請求や架空請求など、少数ですが事件を起こす医師が一定数いることで、毎年厳しい処分を受ける医師がいることは周知の事実です。
その元になる原因の多くが、自分が経営するクリニックに必要な運転資金が工面できなくなった結果、普通では考えられないような行動を起こしてしまったと言うことです。
医師の売上は保険医療制度で保護されている
このため、開業した医師が真面目に仕事をしていれば、少なくとも経済的には困らないような仕組みを作っているのが現在の保険医療制度であるとも言えます。
開業医の中には、1点10円の保険医療制度は、極めて医師の職責を軽視しているという主張もありますが、一般社会の経済活動から見た場合、国が支払いを保証している最も安全な事業なのです。
それは、お金に困った開業医がおかしなことをしないようにするための、セーフティーガードと言えるかも知れません。
社会一般の自営業の経営者が直面する現実の中では、仕事をしてもお金を払ってもらえないことも少なからずありますが、保険医療制度ではそのようなことはありません。
経営の安定を目指した開業方法
病気に対して、その治療方法があるように、クリニックの経営にも安定させる方法があります。
健康な経営を目指すためには、予防医学と同様に、クリニックを開業する前に手を打つ必要があります。
クリニックの開業前に考えるべきことは、3点です。それは
- 1.集患ができる開業場所選び
- 2.安定経営のための開業資金準備
- 3.開業のタイミング
これら3点を考慮して、クリニック経営を黒字化させるためのシミュレーションに基づいた事業計画を立てる必要があります。
堅実なシミュレーションをする事によって、クリニックが飽和状態だと思われるような場所でも、経営を安定させる方法が見つかることが多いです。
安定したクリニック経営を目指す開業コンサルティング
当社では、独立して開業しようとお考えの医師を支援し、安定したクリニック経営を目指す開業コンサルティングを行っています。
独立したいという思いに至るまでには、病院や家庭生活での様々な出来事があったことでしょう。そして開業してからの夢もあることでしょう。
当社では、医師がそれぞれに持つ個別の事情やお気持ちを汲み取って、安定したクリニック経営を行い、人生の夢が実現できるように、たくさんの事例と実績に基づいてアドバイスを行っています。
外来医師多数区域や飽和している場所でも、安定経営ができる方法を見つける事が出来ます。独立開業をお考えの医師は、今後開業規制が強化される前に、ぜひ当社にご相談ください。
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