クリニックを閉院させてしまう理由とは?
近年、都心では歯科だけでなく、いろいろな診療科目のクリニックが乱立し、淘汰の時代に入ってきているように思います。クリニックの新規開業を規制する動きも出てきました。
東京商工リサーチの調査「2024年上半期の『病院・クリニック』倒産は18件 過去20年で3番目、競合やコストアップが経営を圧迫」によると、2024年上半期での倒産件数が18件で、過去20年で3番目の数となったようです。
病院・クリニックの倒産理由として、過当競争や経営者の高齢化、後継者不在、そしてコロナ禍後に上昇をたどる電気代や人件費など、複合的な要因があります。
倒産しなかったとしても、経営難で閉院するケースや、さらに借金を重ねて経営を続けているクリニックを含めると、経営難に陥っているクリニックは相当数あると思われます。
クリニックを閉院させてしまう原因は、主に次の3つです。
- 1.経営難
- 2.後継者がいない
- 3.クリニック経営に疲れて勤務医に戻る
クリニックの経営が安定している状態とは、患者さんが多く来院してくれて、後継者も育ち、先生がクリニック経営に慣れている状態だと言えます。
この記事では、クリニックを閉院させてしまう主な3つの理由を解説いたします。これからクリニックを開業しようとお考えの先生は、この記事を最後までよくお読みになって、開業後の安定した経営のために何が必要なのかを理解して、安定経営を目指して地域に愛されるクリニックづくりを目指してください。
経営難に陥り閉院するパターン
経営難によるクリニックの閉院は、患者さんの数が少なくて、資金繰りに行き詰まって閉院していくパターンです。経営難になるパターンは、クリニックを開業しても患者さんが増えないことが主な原因です。患者さんの数が増えて売上高が損益分岐点を超える前に運転資金がなくなったか、もしくは今まで繁盛していたクリニックだったものが、来院される患者さんの数が減ってきて経営難になったかのどちらかです。
- 1.開業後に患者さんの数が増えなくて経営難になるパターン
- 2.資金がなくなってしまい経営難になるパターン
- 3.患者さんの数が減ってきて経営難になるパターン
このようなパターンに陥ってしまう原因としては、事業計画の甘さや立地の悪さ、人口の変化の読みの甘さなど、いろいろなケースが見受けられます。
開業はテナントに入ることが一般的ですが、立地の良いテナントをすぐに見つけられるとは限りません。開業を焦ってしまい、立地の良くない場所で開業して集患に失敗するケースもあります。また、良い立地であったとしてもテナント料が高くて、集患が十分にできるまでに運転資金がなくなってしまうケースもあります。
こういった経営難に陥ることは、経営の知識や経験があれば事前に察知できるものです。しかし、開業支援を依頼したコンサルタントの知識不足、経験不足が原因で経営難に陥ることも多いです。開業コンサルタントの中には、クリニックを開業することだけを考え、開業後のことはあまり考えていない人もいます。
先生の夢や立地のこと、競合クリニックの存在や人口分布、開業後の市場の変化など、あらゆることを考慮して事業計画を立ててくれるコンサルタントを選ぶことが大切です。
後継者がいなくて閉院するパターン
後継者がいないパターンは、先生がご高齢になられて引退しようと考えたときに、後継者がいないパターンです。
全ての医師はいずれは引退を考える
先生の医療技術がいかに優れていても、年齢には勝てないときが来ます。そのときはクリニックの規模を縮小させるか、誰か別の医師に経営を譲るかのどちらかになります。
先生の体力が持たないのであれば、患者さんに人気のクリニックであったとしても、後継者がいなければ閉院させてしまうしかありません。
閉院を考えたときに、ご子息が医者で、同じ診療科目を専攻しているのであれば、ご子息にクリニックを継承することもできます。しかし、ご子息が親御さんと同じ専門科目の医師をされているかわかりませんし、ご子息が勤務医を続けたいと考えることもあります。
一般的な企業では、経営者の跡取りを育てるためには、最低でも10年はかかると言われています。ですので、先生が「そろそろ引退したい」と考えてからでは、跡取りを育てることは遅いと言えます。できれば、先生が引退を考える歳の10年くらい前には跡取りの候補を考える様にしておきたいところです。
また、50代からクリニックを開業しようとされる先生は、将来の閉院のことも視野に入れて事業計画を立てることが望ましいです。
クリニックの承継はうまくいかないことが多い
血縁の無い医師にM&Aでクリニックの売却を仲介する専門のコンサルタントもいますが、料金はとても高額になるようです。また知り合いの医師に継承した場合でも、トラブルになることもあります。
あるご高齢の医師が、ご自身で経営しているクリニックを意気投合した若手の先生に譲ろうとして雇ったところ、ご高齢の医師と若手の医師で意見が食い違ってしまい、「そろそろ経営を譲っても良い」と考えた矢先に、クリニックを去っていったケースもあります。そのケースでは、ご高齢の先生はクリニックの経営権を持っていて、医療にはあまり携わらずに給料と家賃といった収入が欲しかったのですが、若手の医師は経営権をすべて譲渡してもらって、ご高齢の医師には出ていってほしかったというものです。
クリニックの譲渡を受けたいと考えている人は、すでに固定客となる患者さんがいて安定的に経営されているクリニックを継承することで、開業のリスクを減らしつつ自由に経営したいと考えています。一方、譲渡する側のご高齢の先生は、クリニックの経営に関わりたいと考えている人が多いです。
親子の継承でも、内装をリニューアルする問題でもめて、子供の医師が出ていってしまったケースもあります。
このように、クリニックの承継はトラブルになることが多いので、リスクの低い開業をお考えの方は、当社が推奨するミニマム開業をすることをおすすめします。ミニマム開業の詳細は、「ミニマム開業とは?メリット・デメリット」をご覧ください。
50代でクリニックを開業させたい場合
もし50代でクリニックを開業させたいとお考えの先生であれば、「自分一代で終わりにする」とか「M&Aのコンサルタントに依頼して、クリニックを承継したら開業医を引退し、経営者としての区切りをつける」といった具合に、将来閉院させることも考えて事業計画を立てることが大事だと思います。
そして、経費のかかる大きなクリニックを開業するのではなく、小さめのミニマム開業をして、余生を快適に過ごせるようなワークライフバランスを考えることも大切です。
医師がクリニック経営に疲れて閉院するパターン
医師の中には、経営に疲れてしまって、「勤務医に戻りたい」と考えて閉院するパターンもあります。クリニックを開業するとなると、クリニック経営のすべてを先生ご自身で責任を持たないといけません。その重圧に耐えられなくなり、「医療活動に専念したい」と考えるようになる場合です。
こうした考えは、ある意味で仕方のないことだと思います。クリニックの経営には、個人企業の社長と同じような仕事も入ってくるわけです。集患の問題、会計や資金繰りの問題、スタッフの人間関係の問題、患者さんからのクレームの問題など、クリニック経営の問題は山積みです。それらのすべてを、先生がお一人で経営判断をしていかなければいけません。
そのときに、経営相談ができる開業医の先輩や経営コンサルタントがいたら良いのですが、そういった人のアドバイスも、当てにならないこともあります。問題を解決する為に弁護士に依頼すると、料金はかなり高いことが一般的ですので、資金繰りの問題が新たに出てしまうかもしれません。
先生が描く理想をきちんと聞いてくれる、経験豊富な開業コンサルタントに相談して開業していれば、経営の疲れは起きなかったかもしれません。
当社では、固定費を最小にして利益を最大化する「ミニマム開業」を推奨しています。少しずつクリニック経営に慣れていってから事業を拡大していくことを方針としていたら、経営に疲れることはありません。
開業を志す先生へのアドバイス
勤務医を辞めて開業しようと志す先生は、いろいろな期待をお持ちのことと思います。今まで開業のご支援をさせていただいた先生方の開業理由はさまざまです。
- ・子育てとキャリアを両立させたい
- ・地元に戻って地域医療に貢献したい
- ・勤務医での仕事に疲れてしまったので、のんびり仕事ができる環境を作りたい
- ・クリニックを開業して、老後の資産を形成したい
開業の目的はいろいろな期待があって良いと思いますが、クリニックを開業した後の経営をしっかり考えて開業していただきたいと思います。
クリニックを開業するということは、会社の社長になることと同じことです。勤務医のときは、先生が医療活動に専念できるように、病院がお膳立てをしてくれていましたが、クリニックを開業するとあらゆる業務をすべて先生が決めて行っていくことになります。先生に夢があるからこそ、そうした現実を乗り越えていくことができます。
クリニックを開業して経営を安定させることは、実は開業前にその成否が決まってしまうことがほとんどです。開業で失敗しないためのポイントは、次の3点です。
- ・開業資金の一部を準備しておくこと
- ・タイミングを待つこと
- ・良きアドバイザー(コンサルタント)に出会うこと
開業資金の一部を準備しておくこと
クリニックを開業させるための資金や初期の運営資金は、基本的には銀行などの金融機関から借りてまかないます。お金が借りられるタイミングは、事業計画を立てて銀行の審査を経てからになります。
事業計画が立てられるタイミングは、テナント物件が決まってからです。テナント物件の家賃や広さが判らないと、事業計画も立てられません。
それから、テナント物件を借りるためには、自己資金がないといけません。自己資金があると良い物件を発見したときに、すぐに契約することができます。立地条件の良い物件は、他の業種の事業者や開業を希望する医師からも目をつけられるはずです。その人たちよりもいち早く契約できるためにもテナント契約を締結できるだけの自己資金が必要です。
自己資金の目安としては、500万円~1,000万円程度の預金があれば十分です。
タイミングを待つこと
開業する場所は、テナント物件を借りて計画することが基本です。そのテナント物件の立地によって、開業後の集患に大きく影響します。開業を焦って立地の悪いテナントに入居してしまうと、集患に苦しむことになります。
開業を決めたら入居するテナントを探すことから始めますが、焦ってテナントを契約してしまわないよいにしましょう。そういった意味で、開業のタイミングを待つ事も大切です。
また、開業前に、開業後にご来院くださる患者さんを確保しておくことも大切です。病診連携を進めている病院では、開業後の先生に患者さんを紹介してもらえることも期待できます。もしお勤めの病院が、患者さんを抱え込んで紹介してくれない病院であれば、早めに転職をして開業を準備することも必要です。
開業を考えられたら、早めに前もっての準備や行動をすることが大切です。
良きアドバイザー(コンサルタント)に出会うこと
実は、開業コンサルタントの力量によって、開業そのものの成否だけでなく、開業後の成否も大きく左右されます。
クリニックの開業では資金調達と開業後の経営のために、事業計画を立てることから始まります。事業計画が絵にかいた餅にならないように、本当に収益が得られるかどうかの判断が難しいところです。クリニックの家賃や広さだけでなく、開業場所の立地条件、地域住民の人口構成、競合クリニックの存在など、いろいろな要素によって想定される収益が変わってきます。
先生によっては大きな夢を描いて、初めから大規模なクリニックを構想する方もいらっしゃいます。コンサルタントが未熟であれば、その構想をそのまま実現させようとしてしまい、後で先生が大きな借金で苦しむこともあります。先生が夢を描くことは大切ですが、開業コンサルタントはその夢を現実的な事業計画に落とし込んで立てられることが求められます。
しっかりと資金調達ができ、堅実な事業計画を立てられる開業コンサルタントに相談することが大切です。
また、開業コンサルタントの知識不足によって、契約したテナントで電源工事や防災工事などの追加工事が発生して、大幅な追加料金がかかってしまうことがあります。開業コンサルタントを選ぶときは、立地を選んだり事業計画を立てたりするだけでなく、クリニックの内装工事や医療機器の知識を持っていることも重要です。
まとめると、クリニックを開業させて、開業後の経営、クリニックの運営などについても、トータルでアドバイスができる開業コンサルタントに依頼することが、クリニックの開業を成功させるポイントです。
当社の開業コンサルタントは、35年以上の実績があり、すべてのクリニックを黒字経営にさせてきた実績があります。当社は東京都を中心とした関東でのクリニック開業をお考えの先生の開業をご支援しております。
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