医師がミニマム開業をしたときの年収はいくらになるか?

医師がミニマム開業をしたときの年収はいくらになるか?

開業を考えた場合に、まず初めに気になるのが、どのくらいの収入を得られる様になるのだろうかということかと思います。

もちろん収入が増えるというのは「開業が成功すれば」の話なので、今の時代は昔と違って開業医が過剰と言われるくらい増えているので、開業したからといってかつての開業医の様に収入が増えるという保証はどこにもありません。

むしろ、よく考えて準備をしておかないと開業しても失敗して、廃業しなくてはならないという事例も多くなっています。「開業して年収を増やしたい」「資産形成をしたい」と思っていても、開業のリスクを減らさないと本末転倒になりかねません。

では、開業で成功しやすいミニマム開業と、その年収がどのくらいになるのか、50代からの資産形成について解説させていただきます。「ミニマム開業とは?メリット・デメリット」と併せてご覧ください。

ミニマム開業で年収を増やす大前提「租税特別措置法第26条(特措法)」とは?

ミニマム開業で年収を増やす大前提「租税特別措置法第26条(特措法)」とは?

ミニマム開業とは、家賃と人件費という固定費をできるだけ小さくしてクリニックを開業する方法です。ミニマム開業をすると、クリニックの安定経営ができ、医師の年収を増やすことができます。

まず、ミニマム開業で年収を増やすための大前提として、租税特別措置法第26条(特措法)についてよく理解して、医師優遇税制と言われるこの税制を十分に活用することによって、一般的な開業医の半分の仕事でありながらも、フルタイムで診療をしている医師と同じくらいの年収を得ることが可能となって来ます。テナント料がいくらかにもよりますが、クリニックの売上高が5,000万円で、最大手取り3,000万円も可能です。

しかもさらにメリットがあることは、ミニマム開業・時短開業を目指すことで、新規開業に必要な初期投資も少なくなり、開業後に必要となる経費も最小限に抑えることが可能となりますので、新規開業を成功させるための条件を満たすことができて、低リスク開業を実現することができます。

租税特別措置法第26条の仕組み

では具体的な仕組みの説明に入っていきます。

本来の税制からいうと、クリニック開業も個人事業に分類されますので、売上から実際に事業に必要となった経費を引いたものが利益となります。

この税制は一般的には青色申告といって、得られた利益に対して税金がかかることになりますが、累進課税となりますので利益が多くなれば支払う税金も多くなってきます。

繁盛しているクリニックの場合、平均して年間の売り上げは1億円程度で、利益は5,000万円くらいになります。

この場合、所得税と住民税の総額は2,000万円程度になりますので、院長先生の年収は3,000万円程度になります。

開業医の平均月収が300万円程度と言われる所以です。

この様にクリニックの利益が上がってくると、顧問税理士から節税対策としてクリニックを個人経営から、医療法人化することを勧められることが多くなってきます。

多くの一般的な経営者が税金に対して感じていること

多くの一般的な経営者が税金に対して感じていること

医療法人や一般企業の場合には、利益の半分くらいを税金として納めなくてはならなくなります。

確定申告や決算を終えた時に、多くの個人企業の経営者が感じることは、厳しい経営環境の中でいろいろなリスクを取りながら、身を削って1年間働いた結果、ようやく利益が出て黒字決算となったものの、その利益のおよそ半分を税金として納めなくてはならなくなります。

そうなると経営者としては、言い切れない切なさを感じてしまうとともに、なんともやる瀬無い気持ちになってしまうものです。

そうしたことから、よくあるパターンとして、個人経営の事業や小規模な会社では節税対策と称して、私的な用途の支払いに対しても、事業経費を装った領収書を集めて、経理処理してしまうことが多くなります。

特に個人事業が成功して利益が大きくなってくると、それに比例して納める税金の額も多くなってくるので、決算で申告する利益を圧縮して納める税金を少なくするために、だんだん生活が派手になっていく傾向があります。

「一生懸命に働いて、苦労してせっかく稼いだお金を税金で持っていかれるくらいなら、自分と家族のために気前よく使ってしまえ。」という気持ちになってくる経営者が多くいることが現実です。

自家用車が国産車からベンツになったり、家族で高級な寿司屋やレストランに行ったり、支払ったお金の領収証を必要経費として経理処理することで、経費で生活することに慣れてしまい、何かと生活が派手になってくる傾向があります。

こうしたことは、実際には脱税となるので税務署からの指摘を受ければ、修正申告をして追徴金を支払うことになります。

解釈の違いなどで経費に計上してしまった場合などは追徴金で済むのですが、明らかに私的な費用を経費としたり、売り上げ自体をごまかしたりする様な場合には、悪質な脱税行為と認定されて重加算税の対象となり、懲罰的な多額の税金を納める羽目になってしまいます。

クリニックの場合はどうか?

クリニックの場合はどうか?

それでも一般企業と比較すると、クリニックの場合には保険診療を主体とした、年間1億円程度の売り上げの個人経営が多いので、税務署が熱心に調査をしたところで、追徴の対象となる金額自体が少額なため、税務調査自体があまり行われない傾向があります。

開業して10年目にしてやっと税務署が調査に来た、というクリニックも多くある様です。

それでも、たまに税務署が調査に来ても、私的に流用した資金の全てを指摘することは細かすぎて現実にはできません。

脱税はやってはいけませんが、例えば10件ごまかした内の、2・3件くらいはバレてしまって追徴金を支払う羽目になったとしても、多くの部分は触れられずに税務調査が済んでしまうことも良くありますので、多少の損失はあったものの結果的には得をしたという気持ちになってしまう場合もあるでしょう。

こうして生活の全般にわたって使うお金が多くなってくると、必要経費とならない私的な買い物や支払いなどでも、気前よくお金を使ってしまう習性が身についてしまいます。

その結果どうなるかというと、入ったお金をどんどん使ってしまい、なかなか貯金ができないという生活が定着していく様になります。

この先ずっと同じ様にお金が入ってくれば大きな問題はないのですが、一般企業の場合にはビジネスの環境は常に変化していきますので、その変化に柔軟に対応できなくなった場合には、あっという間に事業が赤字に転落してしまうことがあたりまえの様に多くあります。

生き残る企業の傾向は?

生き残る企業の傾向は?

コロナ禍では多くの企業が顧客を失い、事業活動を停止せざるを得なくなってしまいました。

その時に生き残ることができた企業は、ストックとしての内部留保(=貯金)をしっかりと持っていた会社です。

企業が貯金を残すためには、その金額と同じくらいの税金を納めなくてはなりません。

逆にいうと、税金を支払った金額と同じ分だけ預金ができるということです。

上場企業の様に社長がオーナーでない企業の場合には、コンプライアンスを重視していますので、社長が会社の利益を私的に流用するということはできません。

また、雇われ社長の場合には会社の業績を上げることで、自らの地位と収入が保証されますので、会社の業績を上げることを第一に考えて、利益の半分を税金として納税することに痛みを感じることはないでしょう。

事業活動には社会情勢に応じた景気の変動がありますから、常に黒字経営が続くということはありません。

不景気や赤字になった場合には、景気や業績が回復するまでの間は内部留保でしのいで、倒産しないで企業活動を継続していけるのは、税金を払った分だけ会社の運転資金を貯金しているからです。

大企業が簡単に潰れないのは、経営者が税金を払うことに痛みを感じないこと、税金を払うことが当たり前のことだと考えていることが大きな要因ともいえるでしょう。

個人事業や中小企業のオーナー経営者は?

かたや社会の9割以上を占める個人事業や、中小企業のオーナー経営者にとっては、大変な苦労の末に築き上げた会社で、ようやく得られた黒字決算の利益の半分を税金として納めなくてはならないということは、ほとんどの経営者にとって身を切られる様に辛いと感じるものです。

そうしたことから、節税と称した派手な無駄遣いが多くなって、自ら利益を圧縮して税金の支払いを少なくしたり、複数のダミー会社に利益を飛ばして赤字決算を繰り返して税金の支払いを逃れたりする経営者が出て来ます。

その結果、会社にストックされた資金が常に不足気味で自転車操業を繰り返すことが常態化していきます。ここで、不景気になったりコロナ禍の様に突然の社会情勢の変化が起こったりすると、事業活動を継続していく運転資金がたちまち底をついて倒産することになります。

コロナ禍の際には、売り上げの減少した企業への救済措置として、無担保・無利息で多額の運転資金を、公的な融資として借り入れすることができたために、倒産が先送りになった企業が多数ありましたが、借入金を返済する時期が来ても返せなくなって倒産する企業が増加しています。

税金をキチンと払っている企業は長く続いていますが、税金をごまかしてまともに払っていない企業は、経営基盤が不安定になり環境の変化に対応できず倒産しやすいということです。

新規開業が増えているクリニックの経済的環境

新規開業が増えているクリニックの経済的環境

クリニックの場合は、多くは院長1人で頑張って診療をすることで、年間に1億円程度の売り上げを上げて、4,000万円から5,000万円程度の所得を得る場合が多いのですが、これまで述べた様に個人企業の多くに見られる様に、お金が入った分だけ出ていく様な派手な生活になって、なかなか貯金が増えないという院長が多くなってしまいます。

クリニックの業務は流行り廃りの有る仕事ではないので、軌道に乗ると普通は安定した経営が続くものです。

そうした業態で有ることから、一度お金のかかる生活を経験するとなかなか直すことができないので、いつまでも貯金ができにくい生活を送ることになりがちです。

ところが新規開業が増えている今、突然近くに競合するクリニックが現れる可能性は大変大きいものがあります。

そうした状況になった場合、資金のストックが十分にない場合には、今まで繁盛していたクリニックにも経営の危機が訪れることでしょう。

租税特別措置法第26条を活用したミニマム開業は?

一方でミニマム開業の場合には、医師優遇税制とも言われている租税特別措置法第26条を良く理解することで、十分な資金のストックを実現することができます。

クリニックの規模が20坪前後と小さいにも関わらず、積極的な営業姿勢で1日に100人近くの患者さんが来院するクリニックもあります。

当然年間の売り上げは5,000万円をはるかに超えるでしょうから、優遇税制の対象にはなりません。

そうした場合には、固定費としての家賃の支払いが少なくなるだけで、常勤職員を採用することで、職員さんの人件費や医薬品費などの変動費は、売り上げに応じてかさんで来ますから、青色申告をして利益に応じた税金を支払うことになり、先に述べた様に節税対策と称して生活が派手になって、貯金ができなくなるパターンとなるでしょう。

一般的な開業方法とミニマム開業で同じ年収3,000万円を得るための経営比較

一般的な開業とミニマム開業、同じ年収3,000万円を得るための経営比較

一般的な開業方法とミニマム開業で、同じ年収を得るために、どれだけ仕事量が違ってくるのかを具体的に解説いたします。

年収を増やすための基本は患者さんの診療を増やす

色々な統計で公表されている、一般的な開業医の年収は3,000万円前後と言われていますが、当然ながら沢山の患者さんが来院して繁盛しているところもあれば、患者さんが来なくて暇で売り上げの少ないクリニックもありますので、開業医の年収格差はかなり大きなものになっています。

開業医が年収を高めるためには、一般的には多くの患者さんの診療をして売上を上げることが必要となります。

売り上げが上がるということは、多くの患者さんの診療をするための広いクリニックのスペースや、沢山のスタッフを雇用しておかなくてはなりませんので、クリニックの運営に必要な固定費も大きな金額になってしまいます。

この様に繁盛しているクリニックの場合には、受付や看護師さんなどのスタッフは業務量に応じて増員することができますが、診療を担当する医師は、たいていの場合は院長先生一人が診察を行う体制で運営していますので、繁盛しているクリニックほど院長先生の仕事が増えて忙しくなり、労働環境は悪化していきます。

中には忙しすぎてストレスの多い生活を送った為に、ご自分の健康診断も疎かになってしまった結果、健康を害してしまったという先生もいます。

ここで、普通の開業とミニマム開業で、年収3,000万円を得るときの経営の違いを、租税特別措置法第26条のおさらいを兼ねて、具体的に解説いたします。

小児科クリニックを一般的な経営をして3,000万円を得る場合

例えば小児科クリニックを医師一人で運営した場合、繁盛していても医師一人が出来る仕事の限界がありますので、大抵の場合は月の売り上げは1,000万円くらいが上限となってしまいます。

患者さんの来院状況は季節による変動や、お盆やお正月などの長期休暇による売り上げの減少もありますので、年間にすると最大でも1億円程度の売り上げに落ち着く場合が多くなります。

こうした場合に、家賃や人件費といった固定費と医薬品・診療材料・光熱水費・諸経費などの合計が、5,000万円から6,000万円程度といったところになって、院長先生の年収は5,000万円から4,000万円くらいになります。

こうなると高額納税者として、所得の半分近い金額の税金を納めなくてはならなくなりますので、手取り年収としては3,000万円程度となるのが一般的な傾向です。

院長先生の個人所得が3,000万円を超える様になると、税金の支払額が大変気になる様になってきます。繁盛しているクリニックの場合には、院長先生の個人所得が4,000万円から5,000万円になることが多くなってきますので、顧問税理士さんからは医療法人になって、節税をすることを勧められる様になります。

医療法人化すると院長先生は法人からお給料をいただく形になります。

個人の給与所得となりますので、支払う税金は病院の勤務医と同じ割合となります。医療法人には家賃や人件費・その他の経費を支払った残りが利益として残り、その利益に税金がかかることになりますが、一般企業の法人税率よりも少し安くなっていますので、納める税金が少なくて済むということになります。

1日に100人近い患者さんが来院するクリニックでは、こうした節税対策が多く取られる様になっています。

クリニックが忙しくて大変になってくると、このような様々な対策が必要となってくるので、経営の難易度も上がり、心労も重なるわけです。

小児科クリニックをミニマム開業して3,000万円を得る場合

一方で小児科のミニマム開業をした場合はどうかというと、結論として半分の仕事をするだけで、1日に100人を診療する様な繁盛クリニックと同じくらいの手取り年収3,000万円を実現することが可能となります。

クリニックの経営を含む一般的な事業活動の場合には、毎年利益と経費の金額を集計する計算を行い、その年の利益の度合いに応じて税金を払うことを繰り返す事になります。これを「決算」といいます。

事業活動の決算は、多くの場合青色申告と言う方法で、1年に1回、事業に要した経費を正確に集計して、税務署に報告しないといけません。売り上げから経費を差し引いた金額が当期の利益となり、その利益の額に応じて支払う税金の額が決まってきます。

ところが、世の中には例外というものがあって、上述したように開業医に関しては租税特別措置法第26条という概算経費を利用して、税金を申告することのできる特別な税制があります。

これは昔から医師優遇税制と言われてきた、開業医にとって大きな手取り年収を生み出す特別な税制なのでした。

この法律は、売上金の7割くらいを事業経費として認めてもらえるので、残りの3割くらいを所得として申告してそれに見合った税金を払えば良いという特別な税制でした。

これは、実際にかかった経費がどんなに少なかったとしても、7割くらいがかかつたことにしても良いということです。

これはどう言うことかというと、売り上げの7割から実際にかかった経費を差し引いて残ったお金が、そのまま税金のかからない手取り収入として手元に残すことができると言うことです。

例えば、4,800万円を売り上げたとしたら、その約7割が経費として認められるので、概算ですが「経費は3,360万円でした」と申告ができます。仮に本当の経費が1,500万円だったとしたら、その差額の1,860万円は先生の手取りにして良いのです。すると、4,800万円から3,360万円を引いた1,440万円が先生の年収となり、税金を引いたものが手取り収入となります。その手取り収入に、さらに経費として認められた金額1,860万円が収入として入るので、実質的な手取り収入は3,000万円程度となります。

開業医の場合は、この概算経費を利用することで大きな節税効果を得ることができるのです。

特措法の歴史

この法律は、現在は保険診療の上限額が5,000万円までの開業医に適用される様になっていますが、法律が出来た昭和29年当時は上限額がありませんでした。

昔の開業医は数が少なかったので競合も無く、自宅で開業している場合が多かったので安定した経営の上に、実際にかかる経費も少なかったことからこの概算経費を適用した税務申告をすることで、相当に大きな現金預金を残すことができました。

その後、不公平税制として廃止の検討もされてきましたが、保険診療の上限金額が改定されながら、現在は年間の保険診療の売上が5,000万円を上限として概算経費が適用できる制度になっています。

ミニマム開業だと半分の業務量で高い手取り収入が得られる

まとめますと、一般的な開業方法ですと、1億円の売上高を上げると、先生は激務に耐えながら、高い税金を支払って3,000万円ほどの手取り収入を得ることができました。ところが、ミニマム開業であれば、半分以下の仕事量にもかかわらず、節税効果もあって、3,000万円の手取り収入が得られます。

ミニマム開業・時短開業の場合には、一般的な開業に比べると半分くらいの患者数や業務量になってしまいますが、そうした状況でも月の売上を400万円程度にすることは難しいことではありません。

そうすると年間でおよそ5,000万円くらいになりますので、実額経費を1,500万円程度にまとめることで、年間に1億円程度の売上を上げる忙しい院長先生と同じ様な、手取り収入3,000万円程度を無理なく実現することができます。

1億円の売上高を得ることは、業務量だけでなく集客の心配もしないといけないので、心労も多くなります。その半分の集患で良いのであれば、そのような心労が大幅に少なくなり、ワークライフバランスも取りやすくなります。

ミニマム開業のメリットは時短開業とセットで

ミニマム開業の本当のメリットは、時短開業とのセットでより効果的に実現することができます。

時短開業での事例

クリニックの時短開業での事例

過去の事例で、子育てとキャリアを両立させたいと考え、週に3回、午前中だけの開業を実現した女性の先生もいます。

流石にこれは極端な例ですが、時短開業は子育てと医師としての仕事を両立したい女医さんや、ワークライフバランスを重視した開業を希望する医師に適した開業形態と言えるでしょう。

年間の売り上げが5,000万円以内というのは、通常の開業医の売り上げや業務量と比較するとおよそ半分程度となります。

一般的な新規開業の場合には、売り上げ目標は月に1,000万円程度で、年間1億円くらいの売り上げを目指すことが多いので、診療時間も朝の9時から18時くらいに設定することが多いです。

それでも繁盛しているクリニックの場合には、たくさんの患者さんを受け入れる為に、残業が常態化して連日夜の9時くらいにならないと帰れないという日常生活が続く様になります。

当然、正社員の職員さんも大勢雇わないと仕事が終わりませんので、人件費もたくさんかかる高リスク経営となってしまいます。

時短開業とは?

時短開業とは、午前中だけの開業であったり、10時から16時までの日中のみの開業であったり、開業する先生自身の希望と都合を最優先した診療時間を設定できる、わがままのきく開業形態です。

売り上げは一般の開業の半分程度を確保できれば良いのですから、あまり多くの時間を診療に費やす必要もなく、多くの患者さんを見る必要もなくなるでしょう。

ただし、少ない売り上げでも黒字経営が実現できる様に、家賃と人件費という固定費を極力抑えたクリニックづくりを目指していかなければなりません。

その上で、保険診療の売り上げを5,000万円以内とすることで、医師優遇税制と言われる概算経費の制度を使うことが可能になります。

概算経費とは?

概算経費とは?

概算経費とは、クリニックの経営に実際にかかった経費が少なかったとしても、売り上げの7割くらいの経費がかかったことにして、経営者で有る院長先生の所得を計算しても良いという特別な税制です。

つまり、5,000万円の売り上げの内3,500万円を必要経費とみなしてもらえるので、およそ1,500万円の所得があったものとみなして、それにかかる税金を支払えば良いということになります。

ここでクリニックの経営のために、実際に支払った経費を1,500万円程度に抑えることができれば、概算経費で認められた金額との差額およそ2,000万円が無税で手元に残ることになります。

したがってうまくするとおよそ3,000万円の年収が得られるということになります。

一般的な開業の半分の仕事量でこれだけの年収を得られるということが、租税特別措置法第26条の制度を活用した、低リスク時短開業の大きなメリットと言えます。

租税特別措置法第26条を活用すると領収書がいらない

もう1つ、一般のクリニック開業と大きく違うことがあります。それは「必要経費としての領収証を集める必要がない」ということです。

当然のことながら事業活動としては常識で有る、会計帳簿を作成する必要もありません。

売り上げのおよそ3割を所得として申請することで、支払う税金の額が自動的に決まってしまうからです。

通常の開業では、経費となる領収証を集めて税理士さんに会計帳簿をつくってもらい、年度末には確定申告をしてもらうために、年間でおよそ100万円程度の顧問料を支払わなくてはなりません。

概算経費の税制を使えばこの様な事務作業も、税理士さんへ支払う顧問料も必要なくなります。

おまけに、税金を誤魔化す必要も無くなるので、税務署の調査も必要なくなってしまいます。

これ以上に年収を増やしたい場合

これ以上の年収を望む場合には、より多くの売り上げを達成する必要がありますが、個人経営のクリニック開業の場合には実際に資産を残すということは先に述べた様に難しくなる傾向があります。

一方で概算経費を利用した経営では、無駄な経費を使って利益を圧縮して支払う税金を少なくする必要がありませんので、勤務医であった頃と同じ様な生活感覚で暮らすことができます。

無税で手元に残った資金を効果的に残すことができますので、将来、お子さんが医学部に進学したいという希望も、無理なく実現することができる様になるでしょう。

ミニマム開業をしやすい診療科目

ミニマム開業が可能な診療科目は、整形外科のような重装備の科目を除いたすべての科目です。私が今までミニマム開業をご支援してきた中で、よくご相談のある科目は

  • ・精神科(心療内科)
  • ・産婦人科
  • ・小児科
  • ・耳鼻科
  • ・皮膚科
  • ・内科

過去にミニマム開業をされた精神科の先生の中には、「私は体力がないので、週3日、しかも午前中だけ開業をしたい」という女性医師の方がいらっしゃいました。また、内科の先生で「子育てをしたいから、いつでも休めるクリニックにしたい」という働き方をお考えの方もいらっしゃいました。そういったミニマム開業を希望されたどの先生においても、黒字化を実現させ、ある程度高い年収を維持しながら、仕事とご家庭を両立させておられます。

独身女医の50代からの資産形成

独身女医の50代からの資産形成

クリニック開業のご相談で多いのが資産形成についてです。独身の女医さんが老後を考えて50代から資産形成することについてご説明いたします。

女性医師であっても50代になってくると?

女医さんが増え続けていますので、結婚して家庭を持ちながら、医師としての仕事を続けている女医さんも多くなっていますが、中には離婚してシングルマザーとして子育てをしていたり、パートナーとのご縁がないままに独身を通している女医さんもいて、人生いろいろな生き方があります。

女医さんは、病院やクリニックに勤務していれば相当の収入がありますので、普段の生活では経済的に困ることはないのですが、人間誰しも平等に年をとっていきますので、いつの間にか50代を迎える様になって来たときに、ふとこれから先の人生をどの様にいきていくか考えてしまう先生も多いことでしょう。

医師免許を取ってから研修医となり、30代は一人前の医師になるために様々な勉強に明け暮れる毎日を過ごして、40代では臨床の現場で責任ある仕事に専念する生活を過ごす中で、医師としての成長を感じる年代になっていきます。

ところが、医師としての長い勉強と臨床経験の向上の期間を経過して50代になると、多くの場合臨床の現場からは少し距離を置いて、新人医師の指導や、管理職としての業務を担う様に期待されて来ます。

成長したといえばその通りなのですが、医師としての臨床の現場が好きで、長年続けて来た生活から少しずつ離れていくことに、面白くない気持ちを感じることもあると思います。

また、勤務先での定年の時期もそろそろ意識に上ってくる時期にもなります。

医師の定年退職の時期は一般的には65歳ですので、その期限は年々迫って来るものの、定年退職後の自身の居場所に関しては、想像がつかないという先生方が多いようです。

特に独身の女医さんの場合、高齢になった親の介護が必要な場合もあったりして、安定した収入が見込める勤務医を辞めることができないままに、ジレンマを抱えながら毎日を過ごしている人もいることと思います。

たとえ、50代からの開業を考えたとしても、これからの開業は過当競争の中で大きな投資をしなくてはならないし、開業した先輩からは開業がいかに大変かということを聞かされ続けるので、開業したとしても、失敗することを恐れて現状から抜け出せないままに、将来に対しても希望を持ちづらい人生を送っているのではないでしょうか。

独身女性医師が50代から資産形成する場合もミニマム開業がおすすめ

そうした人生から一歩前に踏み出すことができる方法が、ミニマム開業という選択です。

ミニマム開業は、従来の開業パターンとは全く異質の、少ない患者数で少ない売り上げでも黒字になる時短・低リスク開業です。

開業するということは、個人事業を開始するということですので、売り上げから事業経費を差し引いた金額が、経営者である院長先生の所得となります。

クリニックの事業は売り上げのほとんどが、医師の診療という技術料で他の一般業種と異なり商品の仕入れ等に支払う費用がほとんどありません。

クリニックの経費として毎月支払う主な費用は、家賃と人件費という固定費になりますので、これらの固定費を最小限にすることで、一般的な開業で目指す売り上げの半分程度でも、十分に黒字経営ができる仕組みを初めから計画していくことで、安心して、安定したクリニック開業を実現することが可能となります。

資産形成ができるミニマム開業の具体的な方法

資産形成ができるミニマム開業の具体的な方法

具体的な方法としては、先ずは立地条件の良い場所に、20坪前後のスペースでクリニック開業を計画することで、固定費となる家賃を抑えることです。

さらに、診療時間を10時から16時くらいの時間帯に集中させて、クリニックのスタッフを全員パート勤務で採用して、人件費を抑えられる経営を実現することです。

さらに、租税特別措置法第26条の概算経費を採用することで、実際の経費を抑えた分だけ無税の手取り収入を増やすことができます。

さらに最近では、電子カルテのレセプトオンライン請求を院長自身が経験して、医療事務の知識のない職員だけでも、クリニックの運営に支障が無いような体制で開業しようとしている先生もいます。

いかにパート職員だけの採用といっても、新規開業で赤の他人を職員として採用すること自体にリスクが潜んでいます。

最近の飲食店のように、注文からお会計まで、人手を介せずにスマホで完結できれば、職員さんを採用するリスクからも解放されるのですが、クリニックのAI化による自動受付などが進んでいても、現実にはまだ職員レスでクリニックを運営することはできません。

中には、トラブルメーカーとも言えるような職員さんを雇用してしまう場合もありますので、いざという場合には、院長自身がレセプト請求までできる様に練習することで、問題のある職員さんには、速やかに退職してもらうお話も進めやすくなります。

この様に低リスク・時短開業のミニマム開業は、独身女医の50代からの資産形成と定年退職後の人生設計に最も適した開業形態と言えるでしょう。

独立をされた医師が、ミニマム開業をすることでどの程度の年収になるのか、具体的な金額は実際に開業をする場所を決めてからでないと算出できませんが、おおよその仕組みは、ご理解いただけたことと思います。当社にご相談いただければ、過去の実績ベースで収入をお答えいたします。

ミニマム開業で収入を増やしたい女性医師や、50代から資産形成を考えている女性医師は、ぜひ当社にご相談ください。

当社の開業コンサルタントはミニマム開業の専門家ですので、安心してお任せいただけます。

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