安定したクリニック経営で大事な3つのポイントと経営リスク

これからクリニックの開業を目指している先生向けに、クリニック安定経営の基本となる3つのポイントをご説明します。

  1. 1.クリニックの立地
  2. 2.ミニマム開業
  3. 3.自己資金

また、子育てをしたい女医さんが開業するときのクリニックのレイアウトをご説明します。クリニックを開業して失敗しないためにもぜひご一読ください。

1.集患と立地について

集患と立地

安定したクリニック経営で大事な1つ目のポイントは、クリニックの立地です。特に首都圏で開業するときは、立地選定の成功がクリニックの成功につながると言っても過言ではありません。

クリニックの立地で集患が決まる時代

東京をはじめとする都市部では、数年前に開業規制と言われるような政策が実施されようとしてきたほど、新規の開業が続きご存知の通りの、供給過多の様相を呈してきました。

昭和の時代には地域の医療需要に対する開業医が少なかったので、よほど放漫な経営をしない限りは、クリニックが赤字になることなど考えられなかったので、集患や立地に関しての配慮をする開業医は少数でした。

平成時代の30年を経て、令和の今日ではクリニックの立地は集患に大きな影響を与えるようになりました。

クリニックの立地はコンビニの立地と似ている

クリニックの立地はコンビニの立地と似ている

クリニックの開業は、コンビニの開業と似た要素があります。コンビニは同じ商品で同じシステムで全国に展開されていますが、都市部の繁華街と地方の立地条件の違いによって、来客数も売り上げも数十倍の開きがあります。

クリニックも保険診療を主体とする限り、どこで診てもらっても同じような診療パターンとなる場合が多くなります。

特に一般内科では、診断と投薬が中心となるので、顧客である患者自身が医療技術の良し悪しを判断することが難しいことから、どこのクリニックで診てもらっても大差ないように感じる傾向があります。

そうなるとコンビニに行くのと同じ感覚で、近くて分かりやすい便利なところに開業しているクリニックにかかるようになります。

したがってクリニックの開業適地は、コンビニのような一般の事業と同じく便利で分かりやすい立地を選ぶことが集患の要となります。

どういった場所を選ぶべきか?

では、どういった場所がクリニックの集患に適した場所なのでしょうか?

もちろん人通りが多い場所が集患しやすいのですが、そういった場所は家賃が高くなり、これもクリニックの経営を圧迫する恐れがあります。クリニックの安定経営の1つ目のポイントは開業場所選びですが、そこで大切なことは集患力とお家賃のバランスです。

開業場所によってクリニックが黒字になるか、赤字になるかが決まりますので、開業場所と集患力の関連に詳しいコンサルタントに相談できるかどうかがポイントです。

2.安定経営のポイントはミニマム開業

安定経営のポイントはミニマム開業

クリニックの安定経営の2つ目のポイントは、売上に対する費用をなるべく抑えることにあります。

安定経営の利益率は何%が適切?

安定したクリニックの経費のバランスを見ると、売上に対する経費の比率はおよそ50%程度となります。つまり、利益率を50%程度にすることが理想的な経営となります。ただ、クリニックの売り上げはほとんどの場合、院長1人の診療で得られるものですので、当然得られる診療報酬にも限界があります。

クリニックの売り上げの中心となるのは、医師の診療という形の無い技術料です。それに対する費用の中心はテナント賃料と人件費という固定費となります。

こうした固定費を低減できる最も理想的な開業形態がミニマム開業です。

ミニマム開業とは?

ミニマム開業とは、事業規模をなるべく小さくし、リスクを最小限にしたクリニックの経営スタイルのことです。集患効果の高い良い立地は家賃が高くなりますが、ミニマム開業でテナントの面積を小さいものにすれば家賃の総額を抑えることができます。

また、職員さんを常勤スタッフとして雇うのではなく、全員パートで採用することによって人件費を抑えることが可能となります。

ただし、パート職員の採用が可能な診療の時間帯は、10時から16時位の日中の時間帯ですので、診療時間もこうした日中の時間帯に設定することが肝心です。当然の事ながら夕方から夜間の診療は出来なくなりますので、その時間帯の売り上げは期待できなくなります。

ミニマム開業で収入を最大にする方法とは?

ここで、ミニマム開業でも先生の収入を最大にしつつ安定経営をするためのポイントとなるのが、年間の診療報酬を5,000万円以内に抑えることです。診療報酬を5,000万円以内に抑えると、医師優遇税制と言われる概算経費によって収入を申告する事ができるので、結果的には院長の手取り収入を最大限に出来る理想的な安定経営を実現する事ができます。

これは租税特別措置法第26条に規定されているもので、保険診療が年間5,000万円までの場合に、およそ7割を事業の経費として認めてもらえます。すると、売り上げの3割を事業所得として申告すれば済んでしまいます。

この場合、実際にかかった経費を売り上げの4割程度で抑えられれば、概算経費として認められている金額との差額、3割程度が税金のかからない無税の所得となるので、先生の手取り収入を大きく増やす事が可能となります。

このようにして、ミニマム開業であったとしても、バリバリと働く先生と同じくらいの手取り収入を得ることができます。こうした税制を活用して当社にてミニマム開業を支援させていただいた多くの先生から、ご好評をいただいています。

3.準備しておきたい資金の考え方

準備しておきたい資金の考え方

安定経営で大事な3つ目のポイントは資金です。

診療科目によって必要な資金の金額が異なる

開業に必要な資金は、診療科目や開業の立地や規模などで大きく変わります。

例えば、精神科の開業は特別な医療機器を必要としないために、とりあえず診療のスペースを確保できれば開業可能となりますので、少ない資金でも開業可能な科目と言えるでしょう。

一方、整形外科は施設基準を満たすリハビリスペースや、X線装置・骨密度測定装置・リハビリ機器など、広いスペースと多くの医療機器を必要とする多額の設備投資と沢山のスタッフが必要となりますので、開業するために多くの資金が必要となります。

開業して黒字になるまでの資金を残しておく

ただ、すべての開業に共通して言えることは、「事業活動である以上は事業に必要な資金はすべて借り入れでまかない、その資金を予定通りに返済して行くこと」にあります。

要するに「借りたお金を返せないような事業はするべきではない」ということです。

クリニックを開業してもすぐに黒字になるほどの患者さんが来てくださるとは限りません。自己資金がいくらあったとしても、開業後に速やかに黒字経営に転じる事ができないと、手持ちの資金はあっという間になくなってしまいます。開業してから黒字になるまでは赤字分を埋めるための資金が減っていくので、リスクを減らすために事業計画をしっかりと立て、計画に合わせて資金を残しておくことが大切です。

自己資金はどれくらい必要か?

自己資金はどれくらい必要か?

資金は基本的に金融機関から調達をするのですが、「では、自己資金は必要ないか?」というとそうでもありません。

開業場所を決定してテナント契約に進もうとするときに、契約の締結をスムースに進めるためには、すぐに契約金の支払いができる様に、自己資金から支払わなくてはならなくなります。

テナント開業をしようとする場合に、良い場所が見つかった場合、普通は1カ月くらいの間に契約金を支払う必要があります。融資の資金を待たずに手持ちの資金から即金で支払うことができれば、条件の良い物件をすぐに押さえることができるのです。

ところが、事業資金の融資を得てからテナント契約の支払いをしようとする場合には、事業計画を作って設備投資の見積もりを用意して、融資の申し込みに必要な各種の資料を準備して、申し込み・審査・契約・融資実行というプロセスを経て行くと、少なくとも3カ月くらいの期間が必要となります。

良い場所を確保しようとする場合、他にも同じテナントに申し込みをしようとする人がいれば、大家さんはすぐに契約金を支払ってくれる人と契約するのは当然のことです。

そのため、クリニックを開業しようとする場合、少なくともテナント契約に必要な資金は自己資金として貯金をしておく必要があります。

また、銀行から融資を受けようとする場合にも、より多くの資金を持っている方が融資の審査にも有利になります。

そのため、通常1,000万円程度の自己資金を持っている事が必要と言えるでしょう。中には貯金がほとんどないという人もいますが、開業を考えているのであれば最低でも500万円程度の自己資金は貯めておく必要があります。

それもないという場合は、開業を考える前にまずは貯金をしてください。いずれ開業をしたいとお考えの先生は、節税対策の投資用マンションなどを購入したりしないで貯金をしておくことをお勧めします。

子育てしやすいクリニックのレイアウト設計

子育てしやすいクリニックのレイアウト設計

最近、開業をお考えの女性医師から、「子育てをしたいので、勤務医を辞めて子育てができる自由時間の取れる開業をしたい」というご要望をいただくことが増えてきました。

子育てと仕事の両立で第一に考えることは時短開業

子育てとクリニックの開業を両立させようとすれば、まず第一に考えなくてはならないことは、子育ての時間を取れる事を優先した時短開業です。

クリニックを開業して、経営が忙しくなり、子育てどころではなくなってしまったら、開業をした意味がなくなってしまいます。ですので、第一に子育てを優先した時短開業を計画することが大切です。

クリニックの事業計画を立てるときに、先生ご自身が理想とするワークライフバランスを考えて計画を立ててくれる開業コンサルタントを選ぶことがポイントです。

開業している先輩に相談すると「開業は大変だ」と言われることも

開業している先輩方に相談する機会もあることと思いますが、その多くの場合、「開業は大変だ。子育てとの両立はムリだ」というお話を聞くことも多いと思います。そういった話を聞くと、「本当に開業して子どもと自分が幸せになれるのだろうか?」という不安が大きくなり、開業を躊躇されることでしょう。

確かに開業というのは初めてだらけのことなので、なかなか上手くできることはないので心配するのは当然とも言えることだと思います。

なぜ多くの開業医が「大変だ」と言うのか?

なぜ多くの開業医が「大変だ」と言うのか?

しかしながら、「開業が大変だ」と考えてしまう大きな原因は、開業を支援してくれるコンサルタント選びに失敗しているパターンが多いです。つまり、開業をナビゲートするコンサルタントが従来型の開業形態ばかりを、開業希望の医師に押し付けた結果とも言えるでしょう。

よく聞く話ですが、「開業を成功させるためには他のクリニックと差別化できる様に高度な医療機器を導入して、職員にも気持ちよく働いてもらうために休憩室や福利厚生も充実させて、一億円くらいの投資をしないと上手くいきません。」と開業コンサルタントに言われて、「開業に対する不安がますます大きくなってしまった。」という先生が多くいる様です。またそうしたアドバイスを真に受けて開業してしまったら、クリニック経営は大変なことになりますし、子育てどころではなくなってしまいます。

これはどちらかというと開業コンサルタントの力量が未熟なために、様々な開業スタイルを望む先生方がいるにも関わらず、ワンパターンの開業スタイルを提案してくる結果とも言えるでしょう。

子育てしながらの開業を考えた場合、固定費となる賃料を少なくするためにミニマムなスペースに診療に直結するレイアウトの配置が求められます。

ただ、1つだけ小さな部屋で良いのですが、院長室と名付けたお子様の勉強部屋を計画してください。

小学校から帰るお子様がクリニックに来て、お母さんと一緒に自宅に帰る事ができる開業スタイルが大切です。

以上、クリニックを開業して安定経営を目指したい先生向けに、基本となる3つのポイントと、子育てをしたい先生が開業するときのクリニックのレイアウトについてご説明いたしました。

ここですべてに共通することは、どのような開業コンサルタントを選ぶかによって、開業後の安定経営に大きく影響することです。そのことを、ぜひとも覚えていただけたらと思います。

最後に当社のクリニック開業コンサルティングをPRさせてください。当社では、東京首都圏を中心にクリニックの安定経営を目指した先生向けの開業コンサルティング支援をしており、36年以上の実績です。

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