クリニック開業初日は患者を診てはいけない
開業というのは多くの先生にとって、人生初めての経験です。
最初はわからないことばかりですから、もちろん失敗することもあるかもしれません。
開業を成功させるために、スタート直後からつまずかないようにするのもオクスアイの役目です。
それではどのような心構えで開業のスタートを切れば良いのでしょうか?
開業初日に良く起こることを中心にお話したいと思います。
トラブルは絶対に起こる
開業準備の最終段階として、クリニックオープンの2週間前くらいから、実際に診療を行える体制づくりを行います。
採用されたスタッフが集まってトレーニングを行いながら、診療に使用する薬品や材料、事務用品なども次から次へと搬入されてきます。
そのような状況ですので、クリニック内を片づけることで精一杯です。
整理をしたとしても、どこに何があるかを全て把握することは不可能でしょう。
オープン前にどんなにシミュレーションを行っても、本番前に完璧に準備するのは難しいのが現実です。
慣れていない場所で、慣れていない器機、慣れていないスタッフです。
開業初日は、そんな状況の中で患者さんが来るわけです。
実際にクリニックをオープンしてみると、パソコンがフリーズしてしまったり、器機が止まってしまったりと、アクシデントはいくらでも起こります。
先生とスタッフのコミュニケーションもうまくいかず、最初は仕事がうまく回っていきません。
トラブルを解決しようと思えば思うほど、何をしたら良いかわからなくなり、気が付いたら待合室の患者さんがどんどん増えていき・・・、パニックになってしまいます。
実際に今までも、開業初日のパニック状態は何度か見てきました。
来院予約は1時間1人くらいでちょうど良い
開業したからには多くの患者さんを診て、早くクリニックを黒字にしたいという気持ちはよくわかります。
特にオープン当初は、患者さんが来てくれるのか不安なため、できるだけ予約で埋めてしまいたいと思う先生も多いでしょう。
でも、開業初日に特に注意しなければならないのは「患者数」ではありません。
「クリニックの評判」です。
患者さんにとっても初めて来院するクリニックです。
初めて来院したクリニックで、何時間も待たされた挙句に、診療もままならないようでは、患者さんはまた来たいとは思わないでしょう。
さらに当日は、飛び込みの患者さんも多いです。
今までどんなに効率的に患者さんを診ることができる先生であっても、環境が違えば、思うように診療することはできません。
例えば、どんなに料理作りがうまい人でも、他人の家の台所では勝手が違っていつも通りの料理ができるわけがありません。
勤務時代のような既存のルーチン化された仕事ではなく、今後は先生が経営者となってルールを作り、全ての責任を負うことになるのです。
患者さんはそのような事情を知りません。
まずは不満を持たれてしまうことを避けなければなりません。
そのため「1時間に1人」の割合で診療することをアドバイスしています。
そのくらいの余裕があれば、トラブルがあっても何とか対応できます。
ただし、そのようにアドバイスしても、自分は大丈夫と思ってしまう先生もいます。
以前、アドバイスを聞かずに予約をどんどん入れてしまった先生もいらっしゃいました。
結局患者さんだらけになってパニックになってしまいました。
後で「だから言ったでしょう!?」と思ったのは言うまでもありません。
最初の1ヶ月は売上は考えずに
クリニックのオープン直後は、診療患者数を増やすのはおすすめできません。
最初の1ヶ月は「慣らし運転」と考えた方が良いでしょう。
トラブルは絶対に起こると断言できます。
無理に患者さんを診るのではなく、1人1人に満足してもらい、信頼感を持ってもらうことを優先することが重要です。
そうすることで売上も後から付いてきます。
まずはスムーズに診療を行うために仕事の手順・効率性は問題ないのか、スタッフはちゃんと仕事ができるのか、など様々な事を見極めていく必要があります。
そうしていくうちに徐々に皆が仕事に慣れていき、仕事の効率も上がってくるはずです。
できるだけリスクを低くするという観点からも、最初から完璧を目指すのではなく、少しずつ改善していくほうが最終的にはうまくいきます。
長期的にはそれがクリニックの成功につながっていくのです。