クリニック職員の募集と採用の秘訣
前回の記事では、スタッフの退職について取り上げました。
今回はそれ以前にまず必要な「募集・採用」について焦点を当ててみます。
開業する時には通常、医療事務や看護師を採用することになります。
クリニックの運営において、良いスタッフがいることは心強いですし、患者さんにとっても安心感につながります。
クリニック経営をスムーズに行うために、スタッフの採用について理解しておくことはとても重要です。
開業時の募集・採用の流れについて
まずはスタッフの募集・採用について基本的な流れを把握しましょう。
大きく分けて4つのステップです。
1.募集のための広告を出し、応募者を集めます。(約1ヶ月)
2.書類選考を行い、面接を行います。(約1ヶ月)
3.採用の決定をします。
4.オープン半月前からクリニックに勤務してもらい、トレーニングを
行います。(約2週間)
つまり募集~採用までにおよそ3ヶ月は必要ということになります。
そしてもう1つ、重要な点があります。
8月、12月の募集は効果がありません。
8月は夏休みをとる方が多く、12月は年末でどこも忙しいので、求職者自体が少ないのです。
またこの様な時期に応募してくる方々は、人材として良い方であるのかどうかと言う疑問も残ります。
やはりこの時期は避けて募集をするべきでしょう。
オクスアイではもちろん上記を踏まえて、開業時の採用について全面的にサポートします。
お忙しい先生に代わり応募・採用業務をサポートし、面接やトレーニングも先生と一緒に行います。
クリニックの開業準備については、忘れると大変!?クリニック開業準備の基本的な内容とは?をご覧ください。開業直前準備として、無理のないスケジュールで進めていきます。
応募者の傾向と対策その1(常勤とパート)
スタッフの勤務形態は、常勤(フルタイム)とパートの2種類があります。
そして、職種も医療事務と看護師の2職種を検討します。
勤務形態、募集職種によって募集の方法や応募者の傾向が異なります。
まず常勤とパートの募集の方法です。基本的には募集広告を利用します。
常勤は「とらばーゆ」が効果的です。
リクルート運営の「女性のための求人・転職サイト」というホームページで、看護師や医療事務の仕事を探している方に対しての集客力も高いです。
常勤を希望する方は職種を絞って求職している方が多いため、広い範囲から応募が来る傾向があります。
一方、パートについては新聞の折込チラシが効果的です。
一般的にパートで働きたい方は、自分の空いた時間を利用したいという方がほとんどです。
自宅から近い勤務地を好む傾向にありますので、地域の折込み広告の方が効果的です。
パート希望者は都心では集めにくい傾向があります。
他にも働く場所が多いのが原因です。
逆に郊外では都心に比べ、居住者数の割に働く場所が比較的少ないため、応募も多くなる傾向にあります。
面接は常勤もパートも一度に行ったほうが効率良く採用を行えます。
また常勤とパートをどのように組み合わせていくかの検討も必要です。
応募者の傾向と対策その2(医療事務と看護師)
次に「医療事務」と「看護師」の職種別傾向です。
医療事務は簡単に言えばクリニックの受付などを担当する方ですが、募集広告を出すとすぐに反応があります。
ただし残念ながら、応募数の割に戦力になる方はあまり多くない印象があります。まずは経験者を採用することを目指すべきです。
書類選考では資格や学歴ではなく、クリニックの実務経験があるかをチェックします。
例えばレセプトの総括を(請求書を発行)したことがあるかどうか、生保等の公費を扱ったことがあるかどうかを確認する事がポイントです。
即戦力となる経験者を1名採用できれば、その他は経験の浅い医療事務を採用しても問題はありません。
先生役として、他の職員の指導が出来る人がいれば大丈夫です。
受付の職員はクリニックの顔になりますので、実務経験も大切ですが、愛想が良くて機転の利く、患者さんに好かれる人を採用すべきでしょう。
パートの方は経験者で無くてはなりません。
細切れの勤務の時にも即戦力となる実務経験が必要とされます。
常勤の方は、毎日の勤務の中で学習していく時間の余裕があります。
本人の意欲次第で、技術面の取得はそれほど難しい事ではありませんので、今後の伸びしろを重視して採用した方が良いでしょう。
看護師については、応募が少ない傾向にあります。
売り手市場ということもあるのでしょうが、募集を出しても反応が遅いです。
少ない応募人数ですので、基本的には応募者全員に早めに面接することが重要で、なるべく採用する方向で考えた方が良いです。
常勤がなかなか採用できない場合でも、パートを多めに採用して何人かで回していくというのも1つのやり方です。
クリニック運営をスムーズに行うために、医療事務と看護師について応募の状況に応じて、常勤・パートどちらの形態で採用するかのバランスが必要になります。
誓約書の効果
クリニック勤務のルールをまとめたものとして、就業規則を作るのも必要です
が、誓約書も忘れずに交わしておくことをおすすめします。
誓約書には「緊急連絡先」の欄を作り、本人以外にもう1つの連絡先を書いてもらいます。
通常ご両親の連絡先であることが多いのですが、これが一種の保険として重要な役割を果たすのです。
残念ながら全てのスタッフが正しい倫理観を持っているわけではないのが現実で、中には突然辞めて音信不通になってしまうこともあります。
前回のメルマガでは、不正行為をした挙句にクリニックを突然辞めてしまったスタッフについてお話しました。
彼女は無断欠勤を続け、携帯電話も通じなくなってしまいました。
そこで誓約書に記載されていた緊急連絡先の住所宛てに書類を出し、解雇予告と共に、貸与していたユニフォームの返却などを求めることができました。
スタッフを採用する際には、クリニックの運営を第一に、様々な事を想定しながら手続きを行っていくことが大事です。