初めてのクリニック開業 初めての税理士
今回は開業された先生からご相談の多い、税務についてのお話です。
開業の流れとしては、ご相談、開業場所の選定、診療圏調査、収支のシミュレーション等を経て、開業場所が決定してから6ヶ月というのが一般的です。
ただし「開業して終わり」というのではなく、開業してからが本当のスタートです。
開業する段階で、開業後のことを詳しくお考えになる時間もないかもしれませんが、あらかじめ知っておいたほうが良いことですので、ご紹介したいと思います。
開業したばかりの先生の悩み「大手会計事務所に依頼して失敗した」
以前開業された先生のお話です。
先生のクリニックは開業1ヶ月目から多くの患者さんが来院し、予想以上に早いペースで繁盛していました。
1ヶ月くらい経った頃でしょうか。先生からお電話をもらいました。
お話を聞いてみると、困った声でこうおっしゃいました。
「税務顧問として大手会計事務所と契約したのですが、コンサルティングやアドバイスばかりで、肝心の経理処理をしてくれません。」
「別の税理士に頼もうと思ってインターネットを見ると、顧問料が安い税理士はたくさんいるようなのですが、どれを選んだらいいのでしょう?」
先生は「大手なら安心」ということで、比較的有名な会計事務所に依頼したとのことでした。
でも、その会計事務所は通常の会社に対して経営のコンサルティングができることに強みを持っています。
クリニック経営についてはあまり詳しくなく、単純な税務処理業務以上のことをすると言うことで顧問料も通常よりも多く請求してきたのです。
この会計事務所が良くないというのではなく、クリニックの税務をお願いするのにふさわしくなかったというのが今回の反省点でしょう。
無駄な費用を使わないよう必要な業務だけを依頼するようにして、場合によっては他の税理士事務所を探すことも必要と私共はアドバイスさせていただきました。
先生は知人から紹介してもらった地元の税理士に業務を依頼することで、最終的には決着することができました。
税務署への申告
当然ご存知のことと思いますが、開業して事業を営んでいる以上、税務署への申告が必要です。
クリニックの経営を軌道に乗せるのが、当初の先生方の目標になりますから、税金のことは税金のプロである税理士に任せることになります。
大抵の場合、税理士と顧問契約という形で月○万円~の支払いをしていくことになります。
さらに年に1回、税務署に申告するための決算書を作成する必要があるので、それに対しても別途費用を支払うことになります。
では、実際どうやって税理士を選び、いくらくらいを支払うのが適正なのでしょうか。
インターネットで税理士について調べてみると、安い税理士のホームページ、税理士紹介のホームページなどで溢れています。
実際にどこに頼めばいいか、ますますわからなくなってしまいますね。
信頼できる税理士とは?
税理士には先生のクリニックの懐具合を打ち明けるのですから、信頼は最も大事です。
クリニックの税務の経験があり、第三者に紹介されるような税理士の方であれば基本的には問題ないでしょう。
当社の開業コンサルティングでも、開業準備中にご希望に応じて税理士のご紹介も行っています。
ただし、税理士との良い関係を続けていくために、基本的には先生自ら選んで頂くことが重要だと考えています。
最終的には、先生と「相性が良い」というのが先生にとって信頼できる税理士ということだと今までの経験上実感しています。
税理士選びをどうすればよいか、お困りの先生は当社にご相談ください。
無駄な経費を使わないために、税理士にお願いする内容は明確に
では、どのような形で契約をすればよいのか、下記に例を挙げます。
税理士には「税金を払うために費用を払っている」ということをまずは頭に入れておく必要があります。
お金を持っていかれるようにするために、さらにお金を支払っている。
ということです。
釈然としない思いがしますよね。
私自身も経営者として税金を払っていますから、身にしみて感じています。
必要のないことまで税理士に頼んで、無駄にお金を払うことは避けなければなりません。
まずは最低限必要なことを確認しましょう。以下の3点です。
1.給与計算
2.伝票の整理と記帳(帳簿の作成)
3.決算書の作成(年1回)
そして、おおまかな税理士との契約条件のモデルケースをご紹介します。
1年目: 月3万の顧問料(3ヶ月に1回程度の訪問)/ 決算作成12万
2年目: 月4万の顧問料(3ヶ月に1回程度の訪問)/ 決算作成15万
これ以外には、必要に応じて臨時の費用が発生するイメージになります。
医院経営は会社と違い、一度経営が軌道に乗ると、収支のバランスに大きな変動はありませんので、税理士に頼むことは日々の記帳くらいしかありません。
税理士には、上記を参考に依頼したい内容と条件をはっきり伝えた上で契約を進めましょう。
経費になるかならないかの判断は、一度聞いたら判ります。
私用で使ったお金を、医院の経費として落とそうと思うからいろいろとややこしいことが起こるのです。