東京で内科医院を開業して失敗しないためのポイントと開業準備

東京で内科医院を開業させたいとお考えの先生に、開業して失敗しないためのポイントと開業方法をご紹介いたします。
東京で内科医院を開業して失敗しない方法は、簡単に言えば近所のクリニックには無い専門性を出すことです。そして、出来る限り経費を抑えて経営リスクを低減させつつ、患者さんから人気の高いクリニックにして、先生の手取り収入を大きく増やす開業方法を実践することが大切です。
ではどのようにして独自性を出したら良いのか、また経営リスクが低く先生の手取り収入を増やせる方法とはどういった開業方法なのかをご説明いたします。
東京で内科医院を開業させたいとお考えの先生は、ぜひ最後までご覧ください。
東京で内科医院の開業は厳しい

東京で内科医院を開業して「経営が成り立つだろうか?」と心配になられる先生は多いと思います。そして、すでに内科医院を経営されているお知り合いの先生に開業の相談などをされた場合には、「内科医院は厳しい」と教えてもらうことになります。
内科医院は特色が無いので集患が難しい
内科医院が厳しい理由は何でしょうか? その理由は「一言で言うと特色が無いから」です。
東京のあらゆる駅前には、たくさんのクリニックがすでに存在しています。クリニックの診療科目には皮膚科、アレルギー科、心療内科、産婦人科、眼科などたくさんありますが、「一般内科」と言われたら、患者さんからすると「風邪をひいて熱を出したとき」や「お腹が痛いとき」といった、軽い症状のときにしか受診しない傾向があります。
例えば、内科医院でも、花粉症の薬を処方することができます。しかし患者さんからすると、花粉症の治療は耳鼻科や眼科・アレルギー科などが専門的な治療をしていると考えます。
カレー屋さんの例え
先生がお昼に、お店で「カレーを食べたい」と思ったとしましょう。辛いものと言えば、カレーも上位に入ると思います。たまには辛いものを食べたくなる人は多いと思います。そして近所には、カレー屋さんとファミレス、お蕎麦屋さんがあったとします。
カレー屋さんにもファミレスにも、お蕎麦屋さんにもカレーはあります。ファミレスのカレーは、とても美味しいものが多いと思います。万人向けに作られているので味は美味しいです。お蕎麦屋さんのカレーは、和風の風味で独特の味です。
カレーはファミレスやお蕎麦屋さんにもあるのにも関わらず、先生はカレー屋さんに行くことを選択されると思います。ファミレスでカレーフェアをやっていて、その中にどうしても食べたいカレーがあったら、ファミレスを選択するかもしれません。しかし一般的にはカレーが食べたいと思ったらカレー屋さんに行くと思います。
このことは、内科医院とアレルギー科などの専門性を掲げた医院の違いと同じです。アレルギーについては、内科でも診療をしてもらえるのですが、患者さんはアレルギー科を標榜するクリニックを選択するのです。
東京で内科医院を開業するときは専門診療も加えること

もし先生に「内科医院」という看板にコダワリが無いのであれば、「内科・小児科・アレルギー科」という科目を標榜してはいかがでしょうか?
「内科・小児科・アレルギー科」という看板を見た患者さんは、「ファミリークリニックとして家族の健康管理のために、なんでも相談に乗ってもらえるのだな」と認識してくれるはずです。すると、内科医院という名称だけではあまり集患ができなかった患者さんも来院してくれるようになります。
内科の女性医師が肛門科を開業した事例
当社にてクリニック開業支援をさせていただいた消化器内科の女性の先生がいらっしゃいました。その先生は、「1年後に内科医院を開業させたい」というご相談だったのですが、当社のコンサルタントから、ある宿題を出しました。
そのときのアドバイスは、「東京では内科医院は集患が難しいので、何か専門性を出す方が良い。先生が開業を予定されている場所は肛門科が無いので、女性専門の肛門科クリニックを開業されたらいかがでしょうか?」というものでした。
先生は消化器内科がご専門でしたが肛門科のご経験は無かったので、コンサルタントは「開業まで1年ほどあるので、お知り合いの病院に見習いとして入って修行させてもらい、診療ができるようになってください。」とアドバイスしました。そうしたところ、先生のお知り合いに肛門科の専門医がいらっしゃるということで開業までの1年間ほど研修を受ける決意をされました。
当時は「女性専門の肛門科」が珍しかったので軌道に乗るまで1年ほどかかりましたが、女性専門ということで口コミが広がって遠くからも患者さんが来院してくださるようになりました。
既存クリニックと同じ診療科目で開業する場合
クリニックの診療科目を付け加えるときに、開業場所の近くに同じ診療科目のクリニックがある場合は、できれば同じ診療科目を加えることを避けた方が良いです。その理由は、既存クリニックの先生から圧力があったり、患者さんの取り合いになったりするからです。
場合によっては、先方の先生からいきなり電話があって、文句を言われる場合もあります。そのような電話をもらうと、そのことが気になってクリニック経営に集中できなくなる先生もいることでしょう。お近くの既存クリニックと同じ診療科目を標榜する場合は、そのようなこともあると言うことを想定しておいてください。
もし気になるようであれば、テナント物件の契約をする前にお近くのクリニックの先生に挨拶に行き、開業をしても良いかどうか相談をされて、了解を得ておくことも一つの方法としてあります。
人気の出るクリニックになるポイントは先生の丁寧な診療

地域の医療環境を調査して、競合する診療科目のクリニックが無いことを確認して開業したとしても、後から同じ診療科目のクリニックが開業してくる場合もあります。場合によっては、「先生のクリニックのすぐ近くに新規開業してきた」ということもあります。
そういった場合に、新規開業した競合クリニックと対抗するためには2つの方法があります。その一つは、先生の患者さんに対する丁寧さです。患者さんは先生の診療の丁寧さで、クリニックの良し悪しを判断します。患者さんとのコミュニケーションを積極的に取ることで、患者さんから「あの先生は、しっかり話を聞いてくれる」と評価してもらうことです。
なぜ丁寧な診療をする方が繁盛するのでしょうか。もしかしたら、スピード重視で患者さんを待たせずに次々と診察をこなす先生の方が「患者さんの待ち時間が少なくて喜ばれるだろう」と思われるかもしれませんが、例えどちらの先生の診療も結果的に同じ診断で同じ処方になったとしても、体調不良の不安な気持ちを抱えて受診する患者さんへの、メンタル面での納得感を持っていただくことが人気の出る秘訣となります。
クリニックの診療は保険点数の出来高払いという仕組みの中で行われますので、診療のロジックも確立された中で行っていれば、一定レベル以上の先生が診療をすれば誰でも同じような診断と治療となってしまいます。そうした中で患者さんの満足度を高めようと思えば、患者さん一人一人に丁寧な説明をして治療の内容をよく理解してもらう努力を続けることが大切です。
こうしたことは、他の業種でも同じことが言えます。例えば飲食店で食事をする時のことを思い浮かべてください。ランチで1,000円を支払ったり、デイナーで10,000円を支払うことはよくあると思います。どちらの場合もそれなりに支払った金額に見合うような美味しさであれば良いのですが、中には「こんなまずいものをお金とってよく作れるな」というようなお店もあります。そういったお店には二度といかないでしょう。
お金を払った分だけの満足感が得られるのは当たりまえのことと言えるでしょう。その上でもう一度行きたいと思うお店は、お金を出した以上に自分が得をしたという感覚です。
同じく美味しいお食事をしたとしても、また行きたいと思うような気持ちになるのは、お店の雰囲気もスタッフさんもとても感じが良かったとか、友達にも教えてあげたいというような気持ちになるようなお店が繁盛店になるのです。
クリニックも同じで丁寧な診療は当たり前のことで、その上で院内の雰囲気も良くてスタッフさんも感じが良いクリニックに人気が出てリピーターが増えてくるのです。
競合するクリニックに対抗できる経営の体力

新規開業した競合クリニックに対抗する方法の2つ目は、競合クリニックよりも経営の体力を持つことです。経営の体力とは安定感のある資金繰りを実現することです。
競合するクリニックが出現することによって、患者さんの数が減ってしまいますので、患者さんを診療して得られる売上高も減ってしまいます。売上高が減ってしまうと利益も減り、家賃や人件費、医薬品の代金といった支払いが苦しくなってしまいます。それらの支払いができなくなってしまったら、倒産します。
もし倒産してしまったとしても、競合クリニックの責任に出来ないのが経営です。クリニックを経営するということは、すべて先生の自己責任で行わないといけないのです。そのような経営の問題も起こることを事前に想定しておき、対処する方法を考えておくことも大切です。
安定した資金繰りの基本は、できるだけ経費を減らすことです。
クリニックでかかる経費の大部分は、次の2種類です。
- 1.テナントの家賃
- 2.スタッフの人件費
患者さんの人数が減ってきたらスタッフの人数を減らして人件費を下げることは可能ですが、入居しているテナントの家賃を下げられる可能性はまずないと思ってください。そのため、始めから極力経費がかからないようなクリニックで開業しておくことが大切です。
極力経費がかからないクリニックの開業方法「ミニマム開業」

ミニマム開業とは、出来る限り経費を抑えて経営リスクを低減させつつ、先生の手取り収入を大きく出来る開業方法です。心療内科のように多くのスタッフを必要としない診療科目もありますが、そのように人件費を削減できる診療科目でミニマム開業をすれば、1日の患者さんの数が20人ほどであっても黒字にすることができます。
ミニマム開業でできるだけ経費を減らし、先生の手取り収入を増やすためのポイントは、次の通りです。
- ・ テナントは坪単価の高い場所でできるだけ小さな物件を選ぶ
- ・ 医療機器は必要最小限とし、高額な医療機器は導入しない
- ・ スタッフはパート勤務の職員のみを雇う
- ・ 年間の売上高を5,000万円以下に抑えて特措法を活用する

テナントは坪単価の高い場所でできるだけ小さな物件を選ぶ
東京で坪単価の高い場所と言えば駅前などの繁華街です。ミニマム開業でなるべくテナント料を安く抑えることが大切なのにもかかわらず、なぜ坪単価が高い場所を選ぶのでしょうか?
それは、駅前や繁華街は人通りが多いので集患がしやすいためです。
テナント料の坪単価の安い物件を借りたら、それだけ経費を削減できるかもしれませんが、立地土条件が悪くてあまり集患ができない場所になるでしょうから倒産してしまうリスクが高くなります。集患ができなければクリニックの経営は成り立ちません。
テナント料はなるべく安い方が経営としては安定しやすいです。そこで、「坪単価は高いけれども、坪数の小さなテナントを借りる」ということが大切です。テナント料は坪単価×坪数ですから、坪単価が高くても小さなテナントで開業すれば賃料を下げることができます。
ミニマム開業の基本は、「坪単価の高い場所で小さな物件を借りる」ということです。

医療機器は必要最小限とし、高額な医療機器は導入しない
心療内科以外の診療科目では色々な医療機器が必要となりますが、ミニマム開業では坪数の小さなテナントを有効活用するためにも医療機器は出来る限り少なくすることが大切です。
先生からよくご相談いただくこととして、「高額な医療機器があれば、競合するクリニックとの差別化ができて患者さんが来てくれるようになるかもしれない。」というものがあります。
確かに、高額な医療機器を必要とする患者さんもいると思いますが、その高額な医療機器を導入するための借入金が返済できるほど集患ができるかどうかわかりません。開業当初から高額な医療機器を入れたとしても、患者さんの数が少ない内はムダになってしまいます。安定経営のためには、まずはリターンが期待できる設備投資を優先することが大切です。
先ほどもご説明したように、人気の出るクリニックのポイントは先生の丁寧な診療態度とクリニックのスタッフや内装などの感じの良さです。高額な医療機器はそれらを補完するものでしかありません。

スタッフはパート勤務の職員のみを雇う
診療時間が夜までになったり、残業が多いクリニックでは常勤のスタッフが必要になります。ミニマム開業の場合にはスタッフはパート勤務の職員のみを雇うことをおすすめします。そして、先生も全ての業務が出来るようになっておくと良いです。
パート勤務のスタッフさんの雇用がしやすくなる条件は、小さなお子さんがいても働くことができる日中の10時から16時くらいの時間帯に診療時間を設定する事です。子育てをしながらパート勤務ができる場所を探している人は少なからずいらっしゃるからです。
ただ、小さなお子さんがいることを前提とすると、時々熱を出したりすることもありますので、場合によっては急にお休みしたりして、シフトが全部埋まらなくなってしまう場合もあります。そのような時に、先生ご自身が全ての業務を出来るようにしておくことで、急にスタッフさんがお休みしても診療を中断することがなくなります。
常勤の職員さんを雇っていればそのように急にお休みするようなリスクは少なくなるのですが、その代わりに人件費が高くなってしまい経営のリスクも高くなってしまいます。少ない人数でクリニックの仕事をしようと思えば、患者さんの受付やお会計も看護師さんの注射や採血などもご自分で出来るようにしておくと、急に職員さんに休まれても診療を中断しなくて済むようになります。
特に心療内科では院長先生が採血をできると、看護師さんを雇わなくて済みますので、人件費を抑えて手取り収入を増やすことが可能になります。

年間の売上高を5,000万円以下に抑えて特措法を活用する
こうして経営に必要な経費を削減した開業をして、さらには患者さんを診療して得られる年間の診療報酬を5,000万円以下に抑えます。
「売り上げに上限を設けてしまったら、利益が少なくなるのでは?」とお感じになられたかもしれませんが、そうではありません。年間の診療報酬を5,000万円以下に抑えることで、クリニックを個人経営される先生にだけ認められる、特別な法律を活用することができます。その法律は「租税特別措置法第26条」と言われ、通称「特措法」と呼ばれています。
この法律を活用すれば、1年間にかかった経費がいくらであったとしても、税務申告をするときに「1年間の診療報酬額の約70%を経費として認められる」というものです。例えば、売上高が5,000万円だったとすると、かかった経費を約3,500万円とみなす仕組みなので、先生の所得はおよそ1,500万円として税務申告ができます。
実際にかかる経費の金額は、診療科目やさまざまな条件によって異なりますが、おおよそ2,000万円ほどみておけば良いと思います。概算経費として申告をした3,500万円と実際にかかった2,000万円の差額である1,500万円は、「税金のかからない手取り収入として先生の手元に残して良い」という開業医が優遇された法律なのです。
この法律を活用することで、患者さんを診療した人数が少なかったとしても、先生の手取り収入を大きく増やすことが可能になります。
東京で内科クリニックを開業させたい場合には、ミニマム開業をご検討ください。ミニマム開業は低リスクで手取り収入を大きくすることができる確実な方法です。そのための準備として、ミニマム開業に対応してくれるクリニック開業コンサルタントに相談し、入念な事業計画を立てることが大切です。
ミニマム開業をご検討されたい先生は、ミニマム開業とはどういったものなのかをよく調べて、正しい知識を身に着けておいてください。
以上、東京で内科医院を開業したいとお考えの先生に向けて、開業して失敗しないためのポイントと開業準備をご説明しました。ポイントをまとめると次の通りです。
- ・ 内科以外の標榜科目を増やす
- ・ 経営リスクの低いミニマム開業を目指す
開業準備をまとめると、次のようになります。
- ・ 丁寧な診療を心がけること
- ・ 受付けや採血なども自分でできるようにしておくこと
- ・ ミニマム開業の正しい知識を持っておくこと
- ・ 入念な事業計画を立てること
当社では、開業を目指される先生に向けて、無料で受講ができるオンラインセミナー&相談会を開催しています。セミナーではミニマム開業とはどういった開業方法なのかを丁寧にご説明いたします。時間は30分ほどです。また、その後の相談会ではコンサルタントに開業でのお悩みをご相談いただけます。
東京で内科医院の開業を目指される先生は、ぜひご連絡ください。