開業後に患者が来ないクリニックの原因と対策

開業後に患者が来ないクリニックの原因と対策

クリニックを新規開業された先生は、希望にあふれつつも、最初は患者さんが少しずつしか増えないので、「経営は大丈夫かな?」とドキドキすることがほとんどです。最初の3ヶ月間は、売上高が損益分岐点に達していないことが多いので、資金が目減りしていくことを目の当たりにします。

当社が開業支援をした先生は、早ければ半年後、遅くとも10カ月程度したら黒字化して、先生から「黒字化しました!」との嬉しいご報告をいただいています。そして、ご支援させていただいたクリニックは、すべて黒字になっています。

さて、世の中のクリニックでは、そのように黒字化していくクリニックばかりではないことが現状です。患者さんが来なくて、開業してから1年後には撤退していくクリニックもあります。撤退の原因は、患者さんが来ないことによる赤字経営です。

開業後に患者さんが来ないパターンにはいくつかあり、主なパターンは次のものです。

  • ・開業場所の立地が悪い
  • ・競合クリニックが多い
  • ・クリニックの存在が認知されていない
    • この記事では、開業後に患者さんの数が増えなくて経営難になるパターンを解説します。これからクリニックを開業しようとお考えの先生は、この記事を最後までよくお読みになって、開業後の安定した経営のために何が必要なのかを理解し、安定経営を実現して地域に愛されるクリニックづくりを目指してください。

      開業場所の立地が悪くて患者さんが来ないパターン

      開業場所の立地が悪くて患者さんが来ないパターン

      開業場所の立地は、開業してしまったら変更ができません。そのため、開業場所を決めることは、クリニック開業後の経営を大きく左右することになります。

      いくら腕のよい医師でも、人の往来が少ない場所にクリニックを開業してしまったら、来院してくれる人数は相対的に少なくなります。漫画やアニメなどで有名な手塚治虫の「ブラック・ジャック」では、誰も住んでいない海辺の崖の上に主人公が経営する診療所がありましたが、主人公が持つ特殊な医療技術が多くの人に認知されていたことや、法外な医療費を取っていたこともあって、経営はうまくいっていた様です。もちろん、日本国内では、ブラック・ジャックと同じようなクリニックは開業できませんが、人の往来が少ない場所での開業は現実的ではありません。

      クリニックの開業場所の良し悪しは、診療科目によっても異なります。例えば、昔は精神科クリニックや泌尿器科でしたら、人目を避けて通う患者さんが多いので少し路地に入った場所が良いとか、ビルの上位階が良いといったことが言われてきましたが、現在ではそんなことはありません。高齢者が多く来院する内科クリニックに限らず、皮膚科や耳鼻科なども人通りの多い1階が良いのはいうまでもありません。産婦人科クリニックや小児科クリニックを開業するときは、子供の多い住宅地の近くを選ぶことも大切です。

      クリニックの開業は、たいていテナントビルに入居して行います。そのテナントビルは1階が良いのは当然ですが、人通りの多い場所で1階のテナントを借りると家賃が高くなってしまいますし、それ以前に、立地条件の良い場所で空きテナントを見つけることは大変に難しいです。そこで、2階以上の上階に入居することによって、家賃がだいぶお安くなり経営が楽になってきます。ビルの上階で開業する場合は、テナントビルに目立ちやすい看板を設置することが、集患にとって大事なポイントになります。

      そういったことから、開業場所として相応しいと思える場所を発見したら、周辺地域の人口構造や競合クリニックの状況などの調査を含め、開業コンサルタントに同行してもらって、現地確認した方が良いのです。

      競合クリニックが多くて患者さんが来ないパターン

      競合クリニックが多くて患者さんが来ないパターン

      現在は、クリニックが乱立している時代です。そういった時代では、何か特色を出さないと患者さんが来てくれませんが、先生の専門に特化しすぎてしまったら逆に集患が難しくなってしまうというジレンマも発生してきます。

      先生ご自身の診療分野でどのような特色を出し、どのような診療を行っていくのか、どのようにPRしていくのかは、立地を考える上でも大事なことです。その相談相手として開業コンサルタントがいますが、開業コンサルタントのアドバイスの良し悪しによっても、開業後の患者さんの数が左右されます。

      次に、クリニックを開業させることだけを目的としたコンサルタントに相談して、とんでもない目に遭った先生の事例を2つご紹介します。

      競合クリニックの目と鼻の先に開業して集患ができなかった事例

      医師によっては、開業場所を安易に考える人もいます。ある先生が「この場所は、私と同じ診療科目で開業してうまく集患ができているクリニックがある。私も同じ場所に開業したら同じように集患ができるのに違いない」と安易に考え、競合クリニックの目と鼻の先に開業した医師がいました。もちろん、このパターンでは、開業後1年経過しても患者さんが来てくれなくて、競合クリニックの妨害もあり、経営難に陥ってしまいました。

      基本的には、同じ診療科目の競合がいるところで新規開業することは避けた方が良いことは明白です。集患まで考えての開業をアドバイスしてくれるコンサルタントに相談していたら、何か特色を出したり、少し離れた場所で開業したりアドバイスをしていたはずです。

      近くに同じ診療科目を同時に開業させたコンサルタントの事例

      開業コンサルタントと名乗る医薬品メーカーの営業担当者に相談して、酷い目に遭った皮膚科の医師もいます。

      医師が開業コンサルタントに「どこで開業したらいいのか?」と相談したところ、「この地区は皮膚科クリニックが無いから、この場所が良い」とアドバイスをしてもらって開業しました。

      すると、自転車で5分ほどの場所に別の皮膚科クリニックがほぼ同時に開業してしまったのです。しかも、調べて見たら、その競合となる皮膚科クリニックの開業支援した人物が、自分を支援してくれた人物と同一人物だったのです。

      相談した開業コンサルタントが、同時に2人の皮膚科の医師の開業支援をして、その2院を診療圏が重なる近場で支援していたのです。本当に酷い話です。

      このように、どのような開業コンサルタントに支援を依頼するのかによって、クリニックの経営が大きく左右されてしまうこともあります。

      クリニックの存在が認知されなくて患者さんが来ないパターン

      クリニックの存在が認知されなくて患者さんが来ないパターン

      先生がいくら高い医療技術を持っていたとしても、前職でいくら患者さんから愛されている先生だったとしても、クリニックが認知されなければ、患者さんが来てくれることはありません。

      開業場所を正しく選ぶことはもちろんのこと、開業したクリニックが地域の人たちに認知してくれるかどうかが大切です。

      クリニックの認知は、まず看板です。地域の人たちに認知される場所に看板を出すことができるかが、開業場所の立地で大事なことです。クリニックのPRの基本は立地と看板なのですが、そのことを知らない開業コンサルタントもいます。適切な立地と看板のアドバイスをしてくれる開業コンサルタントに相談しないと、集患に困ることになります。

      また、二次的になりますがホームページやSNSなどを活用してのPRも必要です。そういったPRを、どのようにしたら良いのかをアドバイスしてくれる、もしくはそういった専門家を紹介してくれる人脈の多いコンサルタントに支援を依頼した方が良いです。

      クリニックのPR方法は、基本的に主たるPR方法は看板、副次的なPR方法はホームページやSNSなどです。チラシでの集患は、開業時に地域に周知していただく為に有効です。クリニックの広告宣伝については、「クリニック開業前の効果的な広告戦略」もご参照ください。

      患者さんが来るクリニックのポイント

      患者さんが来るクリニックのポイント

      開業後に患者が来ないクリニックの原因と対策として、立地がもっとも大事であることをご理解いただけたことと思います。また、立地が良くて患者さんがたくさん来てくれたとしても、経費が掛かり過ぎて経営が苦しくなるクリニックもあります。

      集患ができ利益が出るクリニックの3つのキーワード

      これから勤務医を辞めて、クリニックを開業しようとお考えの先生は、ぜひ次の3つのキーワードを覚えておいてください。

      1. 1.立地条件
      2. 2.資金調達しやすい事業計画
      3. 3.開業のタイミング

      立地条件によって集患の成否が大きく左右されることはこれまで述べた通りです。そして利益を出すためには、資金調達と開業のタイミングが大事になります。

      資金調達の際には銀行などの金融機関に事業計画を提出します。事業計画の内容によって、資金調達のしやすさが異なります。

      開業のタイミングは、簡単に述べるならば焦って開業しないことです。すぐに開業したいために、条件の悪いテナントを借りてしまったら、集患が思わしくなかったり、家賃が高かったりして経営を圧迫しかねません。また、開業と同時に患者さんがたくさんくるように事前に集患の準備をしておいて、患者さんがある程度ご来院いただけることが見込まれてから開業する方法もあります。

      低リスクでクリニックを開業する「ミニマム開業」がおすすめ

      低リスクでクリニックを開業する「ミニマム開業」がおすすめ

      最近では、クリニックの件数がとても増えているので、競争が激しくなってきています。そのため、利益が出なくて閉院しているクリニックも増えてきています。先生方の中には、初めから大規模なクリニックを考える方もいらっしゃいますが、銀行などの金融機関も大規模なクリニックの事業計画への融資には慎重になりますので、資金調達が難しくなる場合もあります。

      そこでおすすめの開業方法が「ミニマム開業」です。ミニマム開業とは、経営の経費ができるだけ小さくなる様なスタイルでクリニックを開業して、患者さんが増えてきたら事業拡大をしていく、低リスクの開業方法です。最初から大きな借金を背負うのではなく、低リスクで小さなクリニックを開業することで、患者さんが増えて事業が安定してから、銀行から資金を借りて、事業拡大していくことも可能となります。

      ミニマム開業の魅力については、「ミニマム開業とは?メリット・デメリット」もご参照ください。

      先生の夢や志を実現し、安定したクリニックを開業するなら、「1.立地条件」「2.資金調達しやすい事業計画」「3.開業のタイミング」この3つが大切です。それぞれの解説は、当社の無料相談会でご説明しています。ベテランの開業コンサルタントが、30分~1時間無料でクリニック開業成功のポイントをアドバイスいたします。

      まずは、オンラインで無料相談ができ、クリニック開業成功のポイントを知ることができる「クリニック開業Webセミナー&個別相談会(無料)」をご利用ください。患者さんがたくさん来てくれて、地域に喜ばれるクリニックを開業したい先生は、ぜひご相談ください。

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