クリニックの開業場所を選ぶポイントとは?

クリニックの開業場所を選ぶポイントとは?

クリニック開業場所・物件の悩み相談Q&A

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クリニックの安定経営のためには集患が大事です。集患ができるクリニックにするためには、場所選びが一番大事です。場所選びを誤ると借金を背負って廃業するという事もあります。

クリニックの開業場所を選ぶときの賃料単価はどのくらいが適正か?

開業相談にお越しになる先生方と初めてお会いした時に、いつもお話しすることがあります。それはクリニックの開業成功に必要な3要素についてのお話です。

その3要素とは『場所と資金とタイミング』です。

開業で失敗しない一番大きな要素は「開業場所選び」

開業で失敗しない一番大きな要素は「開業場所選び」

その中でもクリニックを開業する場所は、開業成功の一番大きな要素となります。

開業を一旦決め、テナント物件を契約したらそこで内装工事が始まりますので、途中で場所を変更することは不可能です。

ところが開業場所の選定を誤ると、患者さんの来院数が増えないので、クリニックの開業を成功させることは大変難しくなってしまいます。

時々、すでに開業している先生が当社のホームページを見て、「経営がうまく行っていないので相談に乗って欲しい」というご連絡を頂くことがあります。お話を聞いて見ると患者さんの来院が思うように増えていかないという事が多いのです。

そうなると当然売り上げが少ないので、毎月かかる経費を賄うことができなくなって、手持ちの資金がどんどん流出してしまうことになります。

このように赤字の状況が続いていくと、クリックの経営を続けていくことができなくなってしまいますので、多額の借金を背負ったまま倒産廃院という最悪の結果を招くことになります。医師は勤務先に困らない事から、自己破産ができない職業となりますので、残りの人生の長期間を借金の返済のために勤務医として働き続けなくてはならなくなってしまいます。

結論から申しますと、すでに開業してしまった場合は、取返しがつかないことがほとんどです。

患者さんの来院数が増えない一番大きな原因は、「場所が悪い」ということです。はじめに開業場所を選定する時に考えるのは、誰でも「良い場所に開業したい」ということです。また、患者さんが来院しやすい良い場所というのは、駅前や商店街などの人通りの多い場所であるという事も開業を希望するドクターなら誰もがわかっているはずです。

良い場所とは、患者さんの来院数が増え、広くて家賃が格安な場所です。しかし、来院数が多く広い場所は人気があるので、家賃が高額になっていきます。実際に開業場所を選定するお話を進めていく場合に、家賃が100万円を越す様な場所では、ほとんどのドクターは契約をしません。

なぜ悪い場所を選んで開業するのか?

それにもかかわらず、なぜ悪い場所を選んで開業してしまうドクターが多いのでしょうか?

それは、クリニックの開業を計画する場合、先に「どれくらいの広さが必要か」を検討するからです。クリニックの開業に必要なスペースを積み上げた結果、広さが40坪くらいの大きさにまでなってしまうこともよくあります。そうした広さのテナントを良い場所で確保しようとすると、テナント賃料の坪単価は2万円から3万円以上になってしまう場合が多くありますので、賃料の総額が100万円を超えてしまいます。実際にその様なテナントはたくさんあります。

さすがに、初めて開業する先生方がその様な高額のテナントを契約することはないのですが、その代わりに必要なスペースの希望はそのままにして、賃料が安い場所を選んでいく様になります。テナント賃料の坪単価が1万円であれば、40坪だと賃料の総額は40万円となるので、クリニック経営の家賃としては許容範囲と考えてしまいます。

賃料の坪単価の意味

賃料の坪単価の意味

賃料の坪単価というのはその場所の事業性やポテンシャルに比例しています。確かに家賃が40万円ですと許容範囲かもしれませんが、坪単価1万円のテナントでは、経営に必要な患者さんの来院数が確保できるかどうかは微妙です。

ブランド店で高額の商品を販売するような店舗のテナント賃料の坪単価は10万円を超えるところもザラにあります。そのように高額の家賃を払っても良いお客様に沢山来ていただける場所なので、十分に採算の取れるような経営ができるのです。

美容整形や美容皮膚科など自費の診療をメインとしているクリニックの場合には、ブランド店と同じような高額の賃料を支払っても、来客の見込める場所で開業することは理にかなっていますが、保険診療を主体とする通常のクリニックの場合には不向きです。賃料の総額が大きくなることで経営に必要な固定費が上昇してしまうので望ましいことではありません。

そうした理由から、クリニックの広さを重視してしまうと、家賃の総額を少なくするために、坪単価の安いテナントを開業場所として契約してしまうことになり、結果的に営業的なポテンシャルの低い場所で開業する様になって、来院する患者さんが増えないという事態に陥ってしまうことになるのです。

一般論として、「テナント賃料の坪単価は高いほど多くの患者さんに来てもらいやすい場所である」ということを覚えておいてください。そうした患者さんに来院してもらいやすい場所で開業することが理想ですが、家賃はなるべく低く抑えるべきです。そこで、初めて開業される先生には、診療に必要な機能だけを小さくまとめた省スペースでの開業を行うことをお勧めいたします。

女性医師の開業で適正な家賃はいくらくらいか?

ワークライフバランスを目指す女性医師が、快適な開業を目指すための「固定費を抑えた低リスクの開業方法」についてご説明いたします。

勤務医の女性医師の仕事量

勤務医の女性医師の仕事量

女性医師が専攻を希望する診療科目として、産婦人科は人気のある分野であると言えるでしょう。

そのほかにも女性医師の割合が比較的多い診療科目としては、皮膚科・形成外科・眼科・耳鼻咽喉科・小児科などがあります。

そうしたご専門であれば、女性医師も大学病院や、所属する医局の派遣先である地域の基幹病院勤務などに勤務する場合には、当直やオンコールを含めて拘束時間の長い勤務が続くことになります。

先日、ある新聞に大学病院勤務の医師の内3割が、月に80時間以上、年間で960時間以上という過労死レベルの長時間の残業を続けている実態についての記事がありました。

そうした病院勤務の生活が続けられるのは、独身で若い研修医のうちか、男性医師であれば、結婚して仕事を支えてくれるパートナーがいる場合に限られることでしょう。そうした医師であれば仕事に専念する事もできるでしょうが、女性医師が結婚して妊娠と子育てを始めるような時期になると、長時間の病院勤務を続ける事は大変困難になってきます。

女性医師のワークライフバランス

女性医師のワークライフバランス

キャリアと家庭生活を両立させたい女性医師の場合、これまでの常勤勤務から非常勤医師としての勤務に移行する事が多くなってくるのですが、非常勤といっても契約した時間は変更することができません。小さな子供さんが急に熱を出したり、受験のために塾や学校に急な用事で行かなくてはならない事もありますので、子育てをする女性医師にとってはやはり厳しい状況であると言わざるを得ません。

そうした女性医師が、ワークライフバランスの取れた生活をしようと思い、開業を考えることになりますが、そうした時に真っ先に考えることは、「開業に失敗した時にどうしたら良いか」ということです。

都市部でクリニックを開業しようとすれば、どの場所でも競合するクリニックが沢山有る中で開業することになります。そのような環境の中で「たくさんの患者さんにきてもらえるだろうか」という不安も有って、開業に踏み切れない女性医師がたくさんいます。

そうした女性医師にお勧めなのが、「賃料の総額を抑えた固定費の少ない低リスク開業」です。

開業を考えての貯金を!

忙しく働くドクターは、お金を使う時間がないため、そのままであればお金が溜まっていくことが多いのですが、節税用の投資マンションなどを購入してしまい、借金をしている人も多いようです。

開業をするためには、もちろん開業資金が必要です。開業前に借金をしていると、クリニック開業のための融資を受けにくくなってしまい、思った通りの開業ができなくなる場合があります。また、借金をしないでなるべく自己資金で開業することが安定経営にもつながります。

そのことから、将来に開業をお考えであれば、なるべく投資話などに乗せられないで、貯金をしていってください。出来る限り貯金してくことで資金を作っておいたら、良い物件があればすぐにその物件を抑えることができるからです。

良い物件の適正相場

では、実際にどれくらいの賃料が適正なのかというと、「賃料支払いの総額が40万円程度までであれば安全圏にある」と言えるでしょう。

ただし、立地条件の良い場所を選ばなければ多くの患者さんに来て頂くことができませんので、賃料が安いだけではクリニックの経営が成り立ちません。今現在のところ、テナント賃料の坪単価は2万円程度までを許容範囲として開業場所を選定することが良いでしょう。

そうした場合、クリニックの面積が20坪程度という狭さになる事もあります。

従来の開業パターンからすると、「狭すぎてクリニックの開業には向かないのではないか」と思うドクターが大勢いると思います。

それは、クリニックの開業に必要な施設を積み上げて考える、従来型の開業計画が頭にあるからです。

なぜ、20坪程度では狭いと感じてしまうのか?

それは、「スタッフの休憩室や更衣室を取らなければいけない」という勘違いから生まれます。開業される先生から一番よく聞かれるのが、スタッフのための休憩室や更衣室がないと良い従業員が定着してくれないのではないかという質問です。

そうしたスペースはあれば有った方が良いのですが、実のところ、なければないで済んでしまうものなのです。

クリニックのスペースと安定経営の関係

クリニックのスペースが40坪以上ある場合には、休憩室や院長室などと言った利益を生み出さない二次的な空間を作るだけの余裕もあります。しかし、クリニックの面積が20坪から30坪程度の場合には、売り上げを上げる診療スペースの面積とレイアウトの確保を最優先することが、クリニックの経営を成功させるための条件として求められます。

クリニックで働く従業員にしてみれば、休憩室があってもお給料が安いよりは、休憩室がなかったとしても、繁盛するクリニックで働くことで良いお給料をもらえた方が良いに決まっています。

時短開業でも繁盛するクリニックを開業出来る場所というのは、坪単価が2万円程度の場所で、賃料が40万円くらいまでで、小さいスペースを無駄なく使うことが肝心です。

少ない患者さんでも手取りの大きな開業を実現する方法とは

坪単価が2万円程度と、多少家賃が高くても患者さんの来院が多く安定収入につながりやすい開業場所を選ぶことをお伝えしました。

次にその家賃や人件費などの固定費を支払いつつ、ドクター自身の手取り収入を多くするための方法をご紹介いたします。

租税特別措置法とは?

租税特別措置法とは?

その方法とは、「租税特別措置法(そぜいとくべつそちほう)を活用すること」です。租税特別措置法の26条には、簡単に述べると「保険診療の売り上げが5,000万円までの場合には、概算で7割の経費が認められる」ということが記載された法律です。この部分を指して「措置法26条」とも言われます。

時短開業を希望する女性医師に、租税特別措置法のお話をすると、大抵の先生方はご存知ありません。女性医師が時短開業を目指す場合には、大変有利な税法の制度です。

これをうまく活用することで、ドクターの手取りが増えて大変お得な開業を実現することができます。ぜひ覚えておいてください。

この税制は、昭和29年にできたのですが、保険診療の収入の金額に応じて次のような割合が経費として認められるものです。

2,500万円以下 72%
2,500万円を超え3,000万円以下 70%
3,000万円を超え4,000万円以下 62%
4,000万円を超え5,000万円以下 57%
「社会保険診療報酬の所得計算の特例」第二十六条を参照

極端な話をすれば、実際にかかった経費が0であったとしても、保険診療の売上げに対して約7割の費用がかかったことにして、売り上げの3割だけを収入として申告して税金を払えばよろしいという法律です。

この法律ができた当時は戦後復興の真っただ中で、開業医が大変少なくて貴重な存在でしたので、日本医師会の政治力も圧力団体として大きな影響力を持っていました。

かつての開業医といえば、テナントを借りて開業するスタイルはごく稀で、多くは自宅の一部を医院として、職員も雇わずに家族経営で開業している医師が多くいたために、ほとんど経費のかからない医院経営をしている開業医がたくさんいました。

保険診療の売り上げの多くが医師の技術料であり、仕入れなどにかかる経費が非常に少ないことから、診療科目によっては医院経営に必要な経費がほとんどかからないという経営の仕方も可能だったわけです。

これは何を意味するかというと、保険診療による売り上げの7割を税金のかからない手取り収入として受け取ることができるということです。

しかも法律ができた当時は、現在のように5,000万円という上限の設定はなくて、売り上げた金額の全てに適用されていたのですから、昔の開業医さんには数億円の預金があるという医師も珍しいことではありませんでした。

一般企業の経営者から見るとまさに夢のような優遇税制なので、不公平税制の最たるものとして長年の間槍玉に挙げられて来ました。

その結果、概算経費を適用できる保険診療の売り上げに上限が設けられるようになりました。

何回か上限金額の変更がありましたが、現在は上記の表のように5,000万円を上限として、7割程の経費を認められる状況に落ち着いています。

なぜ租税特別措置法の活用が注目されているのか?

租税特別措置法の活用が注目されている理由

近頃、クリニックの新規開業を考えた場合、ほとんどの先生方は夜間診療や休日の診療なども取り入れて、「長い時間働いてたくさんの患者さんを診ることで、より多くの売り上げを上げないとやっていけないのではないか」と考えている方が多くなっています。

その結果、良い場所で広いテナントを借りて常勤の職員を何人も雇わないと、希望する利益を得る為に必要な売り上げを上げられないようなクリニックの構想が出来上がってしまいます。

アクティブに働いて多くの売り上げを上げることで、たくさんの所得を得ることは良いことではあるのですが、果たして現在の医療環境で開業したからといってそのように多くの患者さんを獲得することが誰にでもできるでしょうか。

都市部ではクリニックが増えすぎたため、2020年から開業規制が行われるなど、開業環境は逼迫し始めています。そうした状況にあるにも関わらず、従来と同じパターンで開業のコンセプトを作り上げようとする場合には、先ほど述べたような多額の借金を背負ったまま倒産廃院という大きなリスクが伴うことになります。

そこで安全な開業形態として、租税特別措置法を活用した低リスク開業が注目されて来ました。

租税特別措置法の具体的な活用方法

租税特別措置法の具体的な活用方法をご説明いたします。クリニックの事業計画を立てるときに、次の2つのことをお考えください。

  1. 1.今考えている半分程度の患者さんで年間に5,000万円までの売り上げをあげることを目標にすること
  2. 2.クリニックの固定費である家賃と人件費を抑えた開業計画を策定すること

テナントの家賃が50万円までであれば、年間の賃料は600万円くらいになります。診療時間を10時から16時位の間と、短時間に設定することで、常勤スタッフは不要になります。全員パートスタッフを採用することで毎月の人件費も50万円程度に抑えることができれば、こちらも年間で600万円くらいになります。

光熱水費や診療材料や医薬品費をなどに毎月60万円程度かかるとして、年間に700万円程度かかったとしても、一年間に必要な経費を合計で2,000万円くらいに抑えることは十分に可能です。

そうなると、5,000万円の売り上げがあれば、本来ならば5,000万円から経費合計の2,000万円を引いて3,000万円の所得になって、その金額に税金がかかります。ところが医師優遇税制と言われる租税特別措置法を利用すれば、計算すると3,400万円ほどが経費として認められるので、それを控除した1,600万円ほどが院長先生の所得とみなされてその分の税金を払えば済んでしまいます。

結果として、所得3,000万円のうち1,400万円ほどの売り上げは全く税金のかからない手取り収入として残すことができます。

これは、少し大きなクリニックを開業し多くの患者さんを診療して月に1億円近い売り上げを上げた場合の手取り収入とほぼ同じくらいの金額となります。

つまり、必要な経費を抑えた低リスク開業を実現することで、半分の仕事で多くの手取り収入を得ることができる開業を実現することができるのです。

当社のクリニック開業コンサルティングでは、租税特別措置法が活用でき患者さんが少なくても手取りを最大化ができる事業計画の策定をご支援しています。租税特別措置法を活用する場合には、いくつかの条件があるので、それらの条件に合うように事業計画を立てるようにしています。

以上、クリニックの開業場所を選ぶポイントを述べました。結局のところ、開業場所を間違ったら、患者さんの来院数が増えずに赤字が続き、取返しがつかないことになりかねません。

開業場所選びや入念な事業計画なら、オクスアイのクリニック開業コンサルティングにお任せください。

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