クリニック開業コンサルの支援内容とは?3(開業直前~開業日まで)
クリニック開業コンサルの支援内容とは?3(開業直前~開業日まで)
クリニック開業コンサルティングQ&A
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当社のクリニック開業コンサルティングでは、開業を考えたときの最初のご相談から、オープン後の経営管理まで、トータルにサポートをいたします。
ご支援の内容のスケジュールはおおよそ次のようになります。
- 1. 1年以上前:場所と資金とタイミング
- 2. 1年前から半年前まで:開業場所の調査と準備
- 3. 半年前:テナント契約
- 4. 半年前から3ヶ月前:資金調達、内装工事の設計、各種のプランニング
- 5. 3ヶ月前から開業直前:内装工事、スタッフ募集、各種申請、関係業者との取引契約
- 6. 開業直前と開業日まで:診療シミュレーション、内覧会と開業準備
当社がクリニック開業に際しどの様なコンサルティング支援をしているのか、開業の順を追って前編・中編・後編の三部でご紹介いたします。
この記事では、後編として6番目の開業直前の内覧会から開業日までのコンサルティング支援についてご説明いたします。
前編は1~2番目の内容を、中編は3~5番目の内容をご紹介しています。先に前編の内容を知りたい方は「クリニック開業コンサの支援内容とは?1(開業1年前~半年前)」を、中編の内容を知りたい方は「クリニック開業コンサの支援内容とは?2(開業半年前~開業直前)」をご覧ください。
内覧会の支援(開業直前)
当社では、効果的な内覧会の方法もアドバイスいたします。内覧会は、患者さんにクリニックの存在を知ってもらう最大のチャンスになるからです。
内覧会は開業直前の日曜日に行うことが一般的です。コロナ禍の真っ最中である令和2年と3年の間は内覧会が全く行われませんでしたが、ワクチン接種が拡大してきた令和4年の春ころからは少しずつ増えてきました。
効果的な内覧会の方法
効果的な内覧会の方法についてノウハウをお話しします。これらのことを事前にシミュレーションしておくことが大事です。コンサルティングのときに、しっかりアドバイスさせていただきます。
内覧会は一日だけで良い
まず、内覧会を開院前の土日の二日間にわたって行うクリニックがありますが、これはあまり意味がありません。
なるべく多くの人に新しいクリニックを見にきて欲しいという考えから、「二日間以上の日数に渡って内覧会を行ったほうが良い」というアドバイスをする開業コンサルタントもいるようです。しかし、開院準備の慌しさがピークを迎える開院日直前の週末に二日間以上の内覧会を行うことは、院長先生と職員さんに疲労感を与えるだけでなく、職員さんの休日出勤の人件費などもかさんでしまうことになります。
内覧会を二日間行うことで多少は来場者が増えるかもしれませんが、開院後の集患にはそれほど大きな影響は与えません。というのも、今時都心でクリニックの内覧会を行なったところで、たいして珍しくもないことや、新規開業の飲食店などのように半額セールなどのお得な割引があるわけでもないので、クリニックの内覧会に是非行って見たいという人は実際の話少ないです。
内覧会に来る人の目的とは?
内覧会に来る人の目的の多くは、クリニックの新しい内装や内覧会のお土産などを目的に観に来るのではありません。
クリニックは、チラシやホームページなどで事前に医療の内容を宣伝しています。それに興味を持ち、自分や家族に有益であると考えた人たちが、「新しいクリニックのドクターはどんな人なんだろう」と観にきている人たちが大半を占めています。どのような医療を提供しているのかということ、そのクリニックの院長の人となりを見てみたいという人が大半です。
通りすがりに内覧会の呼び込みに声をかけられたからと言っても、迷惑そうに足早にその場を通り過ぎていくだけで、クリニックに入って来るような人はほとんどいません。
多くの人は目的を持って内覧会に来るのですから、内覧会の日程を1日に集約したところで、開院した後の集患のための宣伝効果という点では遜色はありません。
内覧会当日のスケジューリング
次に内覧会当日のスケジューリングも大切です。というのは、内覧会の主要な目的は「クリニックが開院した後に地域の患者さんにきていただくこと」です。
こうした地域の方を対象としたご案内は、10時から15時くらいの間に行うことが良いでしょう。
次に、医師会や勤務先や医局など、仕事関係のおつきあいから開院のご案内と内覧会にご招待する先生方がいらっしゃいます。そうした方々はお忙しいことからご招待をしてもなかなか来られませんので、一般の方たちの内覧会の後、15時から16時くらいの間に計画すると良いでしょう。
最後に仲良くしているご友人やご家族や親戚などと言った、気のおけない方達をお招きしてお祝いの宴会を行うなどのことがあります。こうした方々に来て頂くのは、ご招待客のご案内が終わった後16時以降に計画すると良いと思います。
大きく分けるとこのように3つに区分されたお客様をお招きすることになりますが、それぞれのお客様に対する対応の方法が違ってきます。
お客様のグループごとにお招きする時間帯を分けて、それぞれのお客様にあった接客の対応をしていかないと、全ての対応が中途半場になってしまって、せっかく内覧会に来ていただいたお客様に対して満足のゆく接待ができなくなってしまいます。
ドクターが取るべき地域にお住まいの方達への対応
クリニック開院後に通院していただけるような地域にお住いの方達には、院長先生のご挨拶に始まり、院内と医療機器のご案内や簡単な医療相談を受けたり、そこから診察や検査の予約を取ったりします。
そうした時に院長先生の医療相談にかける時間は、お待ちの方がいらっしゃる場合には一人当たり5分程度にして、なるべく多くのお客様とお話して頂き、「続きは開院した後の診察の時にゆっくりお話ししましょう」と言って、診察や検査の予約を取って頂くことが大切です。
院長先生は短時間でも良いので、なるべく多くのお客様にご挨拶することを心がけてください。
記念品を渡す際の注意点
また、内覧会の記念品などをお渡しする場合に注意しなくてはいけないことがあります。それは、特にご近所の方に来ていただいた場合に、記念品を渡し忘れないようにすることが大切です。
来院するお客様は一人で来たり、家族連れできたり、親しい友人同士のグループできたり、来る時間もまちまちでパラパラと来院することもあり、まとまって大勢のお客様で院内が混雑する場合もあります。
記念品などのお土産は、一般的にはお客様がお帰りになるときにお渡しすることが礼儀だと思われがちですが、そのようにすると来院する人への対応に追われて、帰る人への対応がおろそかになってしまい、どうしても記念品を全員にお渡しすることが難しくなってしまいます。
そうして記念品をもらわないで帰った人は、何となく物足りない気持ちで帰ってしまうことになりがちです。
そのような事を防ぐためには、来院したお客様が玄関に入った時に始めに記念品をお渡しする事です。そのために記念品をお渡しして来院した人数をカウントする係の担当者を決めておくことが大切です。
内覧会に来られたお客様の対応
また、大勢のお客様が院内に入って来ると限られたスタッフでは、どうしても全ての来客に目が届かなくなって、一人でぽつんと置き去りにされたお客様が出がちになります。そうしたお客様にはやはりクリニックの印象が悪くなってしまいますので、すぐに他のご案内しているグループに入れてあげてください。
せっかく足を運んでいただいたお客様に満足して帰っていただく為には、内覧会の全体を見渡しながら必要な指示を行うことができる、マネージャーのような役割を受け持つ人が居ると内覧会を開催する効果が大きくなります。
お仕事や病院関係のご招待者様の接待
次にお仕事や病院関係のご招待者様に対する対応ですが、大学の教授や開業する地域の医師会の幹部などもいらっしゃいますが、来客人数は少なめになります。
ご招待客の場合、お祝い金や手土産などをお持ちになる方も多いので、お一人ずつに失礼のないように丁寧に対応して、お帰りになるときにそれとなくお菓子などのお土産を用意してお渡しすることが良いでしょう。
なかには、医師会長や大学教授などのVIPもお越しになるでしょうから、その場合にはお車代を封筒に入れて用意しておいて、お菓子のお土産袋の中にそっと入れておくと良いと思います。お車代ですと言って面と向かってお渡ししようとしても、遠慮して受け取らない人がほとんどでしょうから、お客様に気を使わせないそのような配慮も必要となります。
お花やお祝い金のお礼
それ以外のことで気をつけておいた方が良いことは、内覧会の前後の日に多くの方からクリニック開院のお祝いにお花が届くと思います。お花が届いたら必ず送り状とお花を写メしておいて、後日お礼状を送っておくことが大切です。
また、お祝い金をいただいた方には、後日お礼状と半返し程度のお品をお送りしておく事が良いでしょう。
他にも細かな対応がたくさんありますので、内覧会の前にアドバイスさせていただきます。
開業初日の支援
いよいよ希望と不安がない交ぜとなって、待望の開業初日を迎えることになりますが、ここで大切なことはトラブルが起きないように、対処が難しい問題が発生したら対応は先延ばしにして、トラブルを炎上させないように注意することです。
開院の1週間くらい前には、実際に患者さんが来られたときのことを想定して診療のシミュレーションをします。ここで行う模擬診療で様々な問題点をあぶり出して、開院の日を迎えるまでの間、毎日模擬診療を繰り返し行って開院の本番に向けて業務の練習をして参ります。
当社のコンサルティングでは、こうしたシミュレーションのやり方もアドバイスしています。
開業初日によくあるトラブル
せっかく来院していただいた患者さんに悪い印象を持たれないためには、何事にも「なるべく待たせない」ということを心がけることが大切です。
患者さんを待たせてしまう要因はいくつもあります。開業準備期間中に何度も模擬診療の練習をしたとしても、やはり本番になると想定外のことが起きることが多くなります。
まずは受付で予約や問診のシステムや電子カルテの操作に慣れないことから、操作ミスやシステムエラーなどのトラブルで、患者さんの登録が進まないことがあります。
従来はオンプレミス型の電子カルテを採用するクリニックが多かったので、開院の初日には必ず電子カルテ会社のインストラクターが立会いをして、その場でトラブルの解消をサポートしていました。ところが最近はクラウド型の電子カルテを採用するクリニックが多くなったことと、電子カルテの価格を安くするためにオンラインでのサポートしか行わない会社が増えて来ました。そうなると一旦トラブルが発生すると解消に時間がかかる例が多くなります。
次に診察と検査や処置ですが、院長自身が電子カルテを自由自在に使いこなせるようになっていないといけないのですが、やはり初めて本番で使用する電子カルテは不慣れなことから、診察にいつもの3倍くらいの時間がかかってしまうことがあります。次に看護師さんが採血や検査を行おうとする場合に、必要な備品や消耗品をしまった場所がわからなくなってしまって探すのに時間がかかってしまったり、購入したつもりの備品が納品されていなかったりして、必要な処置や検査ができないと言う事態も起こり得ます。医療機器の操作や検査データーの転送がうまくいかない場合もあります。
最後にお会計をする場合にも、最近はクリニックでもキャッシュレス決済が主流となって居るために、ネットワークがうまく稼働しなかったり操作が不慣れなために何度もやり直しをしてしまうこともあります。
こうしたトラブルは開院の初日にはつきものですので、初日に予約患者さんを入れる場合にはなるべく少なくして、1時間に一人くらいを目安にしておいた方が安全です。
予約外の患者さんが来院したら?
当然初日には、上記のようなトラブルが発生していても予約外の直来の患者さんも来院します。もちろん予約外の患者さんにも、きちんと対応する必要があります。
診療中に後から来た患者さんの待ち時間が長くなって来そうになったら、一人の患者さんに多くのことを行おうとしないで、先に伸ばしても良い検査などがあれば次回に予約してもらい、次にお待ちになっている患者さんへの対応を速やかに進めてください。
初日に診察する患者さんの理想的な人数
開業の初日に診察する患者さんの人数は、理想的には10人程度です。スタートの日には多くの患者さんを診るのではなく、クリニックの慣らし運転のつもりでゆっくり安全確実にお仕事を開始して下さい。
スタッフの人たちはオペレーションに慣れるのに時間がかかります。患者さんの人数が少ないと、トラブルが発生しにくいので混乱も少なく仕事内容に慣れていくことができます。
クリニック開院の初年度は利益を上げることを目的とするのではなく、地域に新規開業したクリニックのブランドを作り上げていく時期だと思って下さい。そのためにも、患者さんお一人お一人にご満足いただく必要があります。それができてこそ翌年度からより大きな利益を生み出していくクリニックの基礎ができるのです。
開業直前から開業日までのクリニック開業コンサルティングの支援内容(後編)をご紹介いたしました。
まだ、前編と中編をご覧になられていない方は、クリニック開業コンサの支援内容とは?1(開業1年前~半年前)やクリニック開業コンサの支援内容とは?2(開業半年前~開業直前)をご覧ください。
当社のコンサルティングについてもっと知りたい方や実際の開業相談をしたい方は、当社までお気軽にご相談ください。
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