医師が子供を医学部に入学させるために知っておきたいこと
今回の話題は先生方のお子様に関するお話です。
開業をする先生方の主な年齢層からすると、お子様が受験をむかえる時期と重なることも多いです。
先生方のお子様も、親の姿を見て医師になりたいと思うことがあるでしょうし、お子様が医師になってほしいと思う親御さんも多いと思います。
中学・高校受験の先には、目指す大学への入学が有ります。
先生方が卒業した医学部の人気は年々上がる一方ですので、今回は医大の受験の状況や医学部を取り巻く現実に付いてお話ししたいと思います。
医学部はお金がかかる
ご存知の通り、医学部には国立大学と私立大学があります。
学費は国立大学の方が私立大学よりも各段に安いのですが、国立大学に入れるのは一握りの学生です。
大多数は私立大学の医学部へ入学することになります。
もちろん学費はとても高いです。
私大の医学部の学費を払うには、給料の良い外資系のサラリーマンやレーシックや美容整形などの比較的高額な給料をもらえる勤務医なら問題ないのかもしれません。
でも一般的な勤務医のお給料は、個人差はありますが、平均すると手取りで100万円位でしょう。
しかしながら、お子様の教育費はもちろん、家のローンやその他の必要経費で出費も多くなるため貯蓄は少なくなりがちです。
医学部の受験勉強の為に、お子様は予備校に通うでしょう。
学校にもよりますが、医大専門の進学コースでは、年間300~400万円くらいかかるところも有ります。
そして入試は水ものですから、ともかくどこかに引っかかるだけでも有難いと言うことで10校くらい受ける様に予備校から指導されます。
ちなみに1校あたり受験料は6万円なので、10校受けるとそれだけで60万円です。
地方から受験に来る場合などは、ホテル代なども含めると軽く100万円くらいはかかってしまいます。
そして、合格すれば入学金、授業料も必要になります。
もちろん寄付金を求められる大学もあります。
医学部を受験する準備でお金がかかりますし、受験や入学に伴いもっとお金がかかります。
そのような状況ですので、一般的な勤務医の収入では、お子様を私大の医学部に行かせるためには、金銭面でかなり苦しいことになります。
私大医学部入試のシステム
通常、医学部の受験は1次試験と2次試験に分かれます。
1次試験は学力のペーパーテスト、2次試験は面接と論文です。
1次試験を突破することで2次試験に進みますが、基本的に2次試験は『医者にして良いかどうか、医師になる人材としておかしくないか』を判断するためのものの様です。
2次試験は、問題のある人を落とすための試験になっているので、あまり差が
付きません。基本的に1次試験の点数が高いほど合格する可能性が高いことになります。
私大の医学部は、国立大のすべり止めに受験する学生も多いため、必然的に1次試験上位には国立大にも合格するレベルの学生が多くなり、国立大学の合格発表の後に私大の入学を辞退する学生が続出します。
そのため私大医学部の1次試験では補欠合格者を多く出すことになり、上位の合格者が辞退した場合に、順次補欠合格者が合格する仕組みになっています。
補欠合格の場合でも、1次試験でなるべく良い点を取って、2次試験を迎えることが必要になるのです。
正規合格すればもちろん良いのですが、補欠でも補欠合格者の中で上位に入っていれば合格に限りなく近い状態だと言えます。
2次試験は身内に有利な場合も
一部の私立医大の中では、「関係者枠」と言うのも存在するようです。
さすがに試験を受けずにというわけにはいきませんが、1次試験に受かることができれば、自動的に合格になる様です。
とある大学の同窓会で実際にあった話ですが、『来年の入試で子供や親戚で受験する方がいる場合、あらかじめ連絡してくれれば便宜を図る』という通知があったそうです。
もちろん1次試験だけでも合格するのは簡単な事ではないですが、それでも良い点数で1次試験を突破した学生よりも、関係者の方がすんなり合格できるという仕組みは存在する様です。
公平ではないですが、「関係者」でない場合はあきらめるしかありません。
関係者枠があったとしても、1次試験を高順位で合格できるほどの学力をつけるしかないようです。
そして合格発表の後に、親にとって頭を悩ませることが起こるのです。