歯科医院の開業には資金や費用はいくら必要?
さまざまな業種のなかでも歯科医院の開業費用は高額になりやすく、最低でも5,000万円は必要とされています。
開業地や医院の規模によっては、それ以上の資金が必要になる場合も有ります。
開業するにあたり、何にどれくらいお金がかかるのかを把握しておきましょう。
開業資金の費用相場4つの内訳ごとに解説!
ビル内にテナントとして開業するという前提で、歯科医院の開業資金をまとめていきます。
1.開業地の賃借費用は東京の場合500万円程が相場
開業する場所を賃借するためにかかる契約費用は以下となります。
*保証金(もしくは敷金)
*前家賃
*礼金
*不動産業者への仲介手数料
保証金、礼金、前家賃、仲介手数料など合算をすると、都内で開業する場合、契約時におよそ500万円程度が必要となります。
【例】東京都で開業 家賃40万円の場合
敷金 | 300万円 |
---|---|
前家賃 | 40万円 |
礼金 | 80万円 |
保証会社契約料 | 40万円 |
仲介手数料 | 40万円 |
合計 | 500万円 |
上記はあくまでも一例です。神奈川県や埼玉県、千葉県など都内から離れた場所に開業する場合、もう少し抑えることも可能です。
2.内装工事費用の相場はおよそ1,500〜2,000万円
歯科医院を開業する際は、内装工事に多くの費用がかかります。
その理由は、一般的な店舗と違う特殊な設備工事を必要とするからです。
項目 | 内容 |
---|---|
仮設工事 | 養生、足場組み、解体費など |
大工工事 | 床・天井軸組、間仕切など |
X線防護工事 | X線室鉛板貼など |
建具工事 | 各部屋のドア、引き戸など |
仕上げ工事 | クロス貼り、塗装など |
家具工事 | 受付カウンター、流し台、戸棚など |
空調、換気工事 | エアコン、換気扇など |
給排水、医療配管工事 | 給排水、エアー・バキューム配管など |
電気工事 | スイッチ、コンセント、照明器具など |
衛生器具工事 | トイレ、洗面器、水栓など |
その他工事 | ガス、防災、電話、TV、外装・外構など |
諸経費 | 現場管理費・運搬費など |
歯科診療ユニットへの給排水の配管工事を行う為には、「床上げ」工事が必要ですし、レントゲン室には、放射線の防護工事が必要となります。
実際に工事費用を見積もった際には、その他の項目数も多くなるでしょう。
これらの費用を総合すると、規模によっておよそ1,500〜2,000万円程度が必要となります。
ただし、程度の良い居抜き物件(設備などがそのまま残っている物件)が有れば内装工事費用を抑えることもできます。
3.医療機器にかかる費用の相場は1,200~1,500万円程
項目 | 費用相場 |
---|---|
歯科診療ユニット | 1台250~500万円 |
エアーコンプレッサー | 30~50万円 |
バキュームシステム | 50~70万円 |
滅菌器 | 30~50万円 |
レントゲン設備(デジタル) | 500~1,000万円 |
その他の医療機器 | 100〜200万円 |
導入する医療機器のグレードや数などによっても左右されますが、医療機器を揃えるには1,200~1,500万円程度が必要になります。
購入したい機器の相場と予算を照らし合わせたうえで投資金額を決めると良いでしょう。
電子カルテの導入費用相場は100〜200万円・備品などの費用は100〜200万円位
項目 | 費用相場 |
---|---|
電子カルテの導入費用 | 100〜200万円 |
歯科材料 | 100〜200万円 |
消耗品 | |
家具、家電 | |
合計 | 200〜400万円 |
電子カルテや予約システムに関しては、システムやサービス内容によって費用の幅が非常に広くなっています。
導入費用は100〜200万円とピンキリですが、リース契約で導入するケースが一般的です。
初期費用以外にも、月々の保守費用(12,000〜40,000円)を支払う必要が有りますので、注意して下さい。
また、歯科医院の開業にはさまざまな備品が必要となります。
待合室には、イスや下駄箱、スリッパと滅菌ケース、傘立て、ゴミ箱などを設置しなければなりません。
トイレや洗面、受付などの備品も忘れないようにしましょう。
4.広告費用・運転資金・人材募集費用の相場は1,000万円〜
こまで挙げた費用は、歯科医院を開業するのに最低限必要なものとなります。
しかしながら、実際に運営していくためにはそれ以外にも資金が必要です。
項目 | 費用相場 |
---|---|
広告・宣伝費用 | 100〜200万円 |
運転資金 | 1,000万円位 |
人材募集費用 | 10~20万円 |
まず、広告や宣伝(ホームページ作成やチラシ配布など)にかかる費用です。
次に、運転資金。
保険診療の収入が支払われるのは2ヵ月後となります。
まして新規開業となれば、開業から1年間は収入が安定しないと言うことを見込んでおかなければなりません。
最後に人材募集費用です。
歯科医師一人で医院を運営していくことは難しいため、効果的な求人媒体で人材を募る必要があります。
同時に2~3の媒体に掲載すると採用活動が効率的になります。
歯科医院の開業は無理のない資金投資で
今回は、歯科医院の開業に必要な資金や費用についてご説明しました。
医院の開業地と規模、内装、医療機器にいくら投資するかによって初期費用に大きな差が現れます。
歯科医院は、競合の数が飽和状態にあります。
そのため、多額の初期費用をつぎ込んでしまうと、運転資金が不足して経営が苦しくなってしまいます。
無理のない投資額の設定と運転資金の確保を行うことが大切です。